コラム
更新日: 2026.09.01

X(旧Twitter)の誹謗中傷|削除・投稿者特定を弁護士解説

難波みなみ法律事務所代表弁護士・中小企業診断士。大阪弁護士会所属(登録番号49544)、大阪中小企業診断士会所属(登録番号 420113)、幻冬舎「GOLDONLINE」連載第1回15回75回執筆担当。法的な問題には、法律の専門家である弁護士の助けが必要です。弁護士ドットコムココナラ弁護士ナビに掲載中。いつでもお気軽にご相談ください。初回相談無料(30分)。

X(旧Twitter)の誹謗中傷対策|削除・投稿者特定を大阪の弁護士が解説
まず結論
X(旧Twitter)の誹謗中傷は消せますか?
消せます。方法は、①Xの報告(通報)機能、②削除請求のウェブフォーム(日本専用窓口)、③裁判手続(仮処分・訴訟)です。最高裁も、X上の投稿について人格権に基づく削除請求を認めています(最判令和4年6月24日)。ただし著作権侵害以外の投稿については、裁判外の申請だけでは対応されにくく、裁判手続が必要になりやすい点に注意してください。ログの保存期間の問題もあるため迅速な対応が必要となります。
誰が書いたか特定できますか?
特定できます。ただしXはログイン型のサービスで、投稿した瞬間のIPを記録していないことが多く、開示してもらえるのは主にログイン時のIPアドレスです。これは「特定発信者情報」と呼ばれ、通常より要件が一つ増える(補充性)点に注意が必要です。手続きは開示命令と提供命令を使う道もありますが、実効性や期間を踏まえると、Xでは「IPアドレスの開示の仮処分」を選ぶのが実務的です。
放っておくとどうなりますか?
Xは拡散(リポスト)が速く、放置すると被害が急拡大します。さらに、特定に必要なアクセスログはアクセスプロバイダによっては数か月で消えるため、発信者情報を特定するためには早く動くことが重要です。まずは投稿URL・日時・アカウントをスクリーンショットで保全してください。

X(旧Twitter)は匿名で投稿でき、リポストで一気に拡散するため、誹謗中傷の被害が短時間で広がりやすいプラットフォームです。この記事では、Xの投稿を消す方法と判例、そしてX特有の「ログイン型サービスだから特定に一手間かかる」という実務のポイントまでを、大阪の弁護士が現行法(情報流通プラットフォーム対処法(旧:プロバイダ責任制限法))に基づいて解説します。

1Xの誹謗中傷が広がりやすい理由

Xは、匿名アカウントで投稿できること、リポストで拡散が速いこと、検索やトレンドで人目に触れやすいことが特徴です。悪質な投稿は数時間で数千・数万人に届くこともあり、放置は禁物です。一方で、Xの投稿は削除も特定も法的手段が確立しており、適切な順序で動けば対応できます。まずは投稿のURL・投稿日時・アカウント名・内容をスクリーンショットで保全することが出発点です。

2Xの投稿を削除する方法

X(旧Twitter)はアメリカ法人(X Corp.)が運営するSNSです。削除依頼は、まず自分で申請でき、応じてもらえない場合は裁判手続に進みます。もっとも、著作権侵害以外の中傷・嫌がらせは、裁判外の申請だけでは対応してもらえないことが多く、最終的に裁判手続が必要になりやすいのが実情です。

方法誰が行うか費用の目安特徴
① 報告(通報)機能本人(自分で)無料手軽だが対応されないことも多い
② 削除請求のウェブフォーム本人・弁護士弁護士依頼で数万〜十数万円日本専用窓口あり。ただ、中傷は対応されにくい
③ 裁判手続(仮処分・訴訟)弁護士(裁判所)着手金・報酬で20万〜40万円程度〜確実性は高いが、下記の注意あり

※ 費用は目安です。事案・投稿数により変わります。正確な見積りは無料相談でご説明します。

① 報告(通報)機能

問題の投稿のメニューから「ポストを報告」を選び、ルール違反として申告します。無料で自分でできますが、Xの独自ルールで判断されるため、名誉毀損やプライバシー侵害でも必ず削除されるとは限りません。まず試す価値はありますが、時間の制約もあるため、対応がなければ速やかに次の手段に移ることが大切です。

② 削除請求のウェブフォーム(日本語の窓口)

Xのヘルプセンターにある各種フォームから削除を求めます。近年は、情報流通プラットフォーム対処法への対応として、日本のユーザー向けの削除請求フォームも用意されました(侵害された権利を名誉・プライバシー・肖像権などから選んで申告する形式です)。もっとも、著作権侵害は比較的対応してもらえる一方、それ以外の中傷・嫌がらせは対応されないことも多いため、応じてもらえなければ裁判手続を検討することになります。

③ 裁判手続(削除の仮処分・訴訟)

申請で応じてもらえない場合は、裁判所を通じて削除を求めます。人格権(名誉権・プライバシー権など)に基づく差止請求です。ただしX特有の注意点があります。

「削除」と「日本からの閲覧制限」は別物裁判で削除が認められても、Xが実際に行う対応は、投稿そのものを消すのではなく日本からの閲覧だけを止める措置にとどまることがあります。この場合、国外を経由して閲覧したときや、検索エンジンの結果には、投稿が残ったままになり得ます。加えて、仮処分で命じてもらう方法には注意が要ります。仮処分では手続上の担保金(一般に数十万円規模)を裁判所に預けますが、これを取り戻すには申立てを取り下げる必要があり、取り下げた時点で閲覧制限が解かれて投稿が戻る運用も近年みられます。そのため、確実に消し切りたい場合は、結論も安定する通常の訴訟で削除を求めるか、検索結果の削除請求を検討する必要があります。
最高裁もXの投稿削除を認めている最高裁は、X(旧Twitter)上の逮捕歴に関する投稿について、人格権に基づく削除請求を認めました(最判令和4年6月24日)。削除できるかは、事実の性質・内容、伝わる範囲、被害の程度、投稿の目的、社会的状況の変化などを総合的に比較衡量して判断されます。検索結果の削除で求められる「明らかに優越」という基準(最決平成29年1月31日)とは異なり、投稿そのものの削除では、衡量して優越すれば削除できるとされた点が重要です。

3投稿者の特定はできる?(X特有のポイント)

Xの投稿者を突き止めるには発信者情報開示の手続きを使います。Xは書面での任意のお願いには基本的に応じず、裁判所を通じて命じてもらう必要があるうえ、回答までに時間がかかりやすいのが実情です。さらに、一般の掲示板にはないログイン型サービス特有のハードルがあります。

Xでは「ログインしたときのIP」で追うXは、投稿した瞬間のIPアドレスを記録していないことが多いため、開示してもらえるのは主にアカウントにログインした際のIPアドレスです。こうしたログインに関する情報は、法律上「特定発信者情報」と位置づけられ、開示には通常の2つの要件(①権利侵害が明白であること ②開示を受ける正当な理由があること)に加えて、Xが投稿時のIP等の通常の発信者情報を持っていない、といった事情(補充性)を示すことが求められます(情報流通プラットフォーム対処法5条1項3号)。要件が一つ増える分、手続きの組み立てが重要になります。

開示の大まかな流れ

STEP1 証拠保全投稿URL・日時・アカウント・内容をスクリーンショットで保存します。
STEP2 Xへの開示手続き(開示命令または仮処分)裁判所を通じて、Xにログイン時のIP等(特定発信者情報)の開示を求めます。次の回線業者の情報をつなぐ「提供命令」を併用する開示命令という手続きもありますが、提供命令には従わせるための強制手段が乏しく、対応の遅いXでは十分に機能しないことがあるため、実務ではIPアドレスの開示を仮処分で求める方法が選ばれることが多いと考えられます。
STEP3 回線業者(アクセスプロバイダ)への開示請求判明したIPアドレスの管理者である回線業者に、契約者の氏名・住所の開示を求めます。あわせてログを消さないよう保存を求め、応じてもらえない場合はログの削除を止める仮処分を申し立てます。
STEP4 投稿者の確定氏名・住所が判明したら、損害賠償請求や刑事告訴に進みます。
見落としやすい注意点① 開示の対象は公開されている投稿(ポスト等)に限られ、DM(ダイレクトメッセージ)は原則として対象外です。/② ログは数か月で消えていくため、先に削除だけを進めてしまうと、アカウントごと消えて誰が書いたのか追えなくなることがあります。責任追及まで見据えるなら、削除より先に、投稿者の特定に取りかかるのが安全です。

4特定できたら請求できること

① 慰謝料(民事)

名誉毀損やプライバシー侵害による精神的損害の賠償です。個人への名誉毀損では、裁判例では概ね10万円〜50万円程度とされるものが多いですが、拡散した・悪質・営業損害が生じたといった事情で増額されます。加えて、特定にかかった調査費用(開示手続きの弁護士費用など)も損害として請求でき、投稿1件でも総額が大きくなることがあります。

② 刑事責任(名誉毀損罪・侮辱罪)

公然と事実を摘示して社会的評価を下げれば名誉毀損罪(刑法230条・3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金)、事実を示さず侮辱すれば侮辱罪(刑法231条)にあたり得ます。侮辱罪は2022年7月に厳罰化され、公訴時効も3年に延びました。いずれも親告罪(刑法232条)で、告訴が必要です。

時効に注意損害賠償請求権の消滅時効は、民法724条により損害および加害者を知った時から3年(不法行為時から20年)です。相手を特定できて初めて起算点が確定するため、まずは特定を急ぐことが大切です。

5弁護士に依頼する費用の目安

手続き費用の目安備考
送信防止措置依頼(任意削除)数万〜十数万円投稿数・難易度による
削除の仮処分着手金・報酬で20万〜40万円程度裁判所手続。確実性が高い
発信者情報開示(特定)別途。段階的に発生コンテンツプロバイダに加えてアクセスプロバイダにも開示請求が必要

※ 一般的な目安です。当事務所では初回相談30分無料で、削除・特定・賠償を含めた総額の見通しをご説明します。

6Xで「訴えられた」「開示請求された」方へ

逆に、あなたのポストについて開示請求や意見照会が来た側(投稿者・発信者側)の方は、対応の期限や方針が結果を左右します。無視は最も危険で、早期の削除・謝罪・示談で負担を軽くできる場合があります。詳しくは開示請求されたら|投稿者側の対処法で解説しています。

7よくあるご質問

Q. Xの誹謗中傷は自分で削除依頼できますか?
できます。Xの報告(通報)機能から、ルール違反として申告します。無料ですが、Xの独自ルールで判断されるため必ず削除されるとは限りません。著作権侵害以外の中傷は申請だけでは対応されにくく、最終的に裁判手続が必要になりやすいです。
Q. 匿名アカウントでも投稿者を特定できますか?
特定できます。ただしXはログイン型のため、開示されるのは主にログイン時のIPアドレス(特定発信者情報)です。補充性の要件が加わり、掲示板より手続きが一段増えます。開示命令と提供命令による方法もありますが、対応の遅いXでは、IPアドレスの開示を仮処分で求める方が実務的なことが多いです。
Q. DM(ダイレクトメッセージ)の内容も開示してもらえますか?
原則できません。発信者情報開示の対象は公開の投稿(ポストやプロフィール等)に限られ、DMは対象外とされています。DMでの被害は、別の証拠保全や対応方法を検討します。
Q. 削除すれば投稿した相手を特定できますか?
できません。削除は投稿を消すだけで、特定には別途、発信者情報開示が必要です。むしろ削除を急ぐと、発信者情報の特定が難しくなることもあります。責任追及まで考えるなら特定を先に検討してください。
Q. 削除にはどのくらい時間がかかりますか?
報告やウェブフォームでの削除依頼は、Xの判断に応じて数日〜数週間ですが、対応されないことも多いです。裁判手続(仮処分)は申立てから決定まで数週間〜1か月程度が目安です。拡散が速いため、早めの着手が有効です。
Q. 裁判で勝てば投稿は完全に消えますか?
必ずしも完全には消えません。Xは投稿を消すのではなく、日本からの閲覧だけを止める措置にとどめることがあり、国外を経由したアクセスや検索エンジンには残る場合があります。確実に消したいときは、検索結果側の削除や、通常の訴訟での削除もあわせて検討します。
Q. 削除の法的根拠は何ですか?
人格権(名誉権・プライバシー権など)に基づく差止請求です。最高裁も、X上の投稿によるプライバシー侵害について人格権に基づく削除請求を認めています(最判令和4年6月24日)。削除の可否は諸事情の比較衡量で判断されます。
Q. 慰謝料はいくらくらい請求できますか?
個人への名誉毀損では概ね10万〜50万円程度の裁判例が多いですが、拡散・悪質・営業損害で増額されます。これに特定のための調査費用が加わるため、投稿1件でも総額は大きくなり得ます。
Q. 弁護士に頼むメリットは何ですか?
削除と並行して発信者情報の特定と、これに続く損害賠償・刑事告訴まで一貫して進められます。手続きが複数段になるXでは、専門的な対応で結果が変わります。

8あわせて確認したい

Xの誹謗中傷は、削除の方法選びと、ログイン型ならではの特定手続きの設計で結果が変わります。ログが消える前に動くことが重要です。まずは無料相談で、削除・特定・賠償を含めた最適な進め方をご説明します。

06-6786-8103

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初回法律相談30分無料。大阪・全国対応(オンライン相談可)。

※本記事は一般的な情報提供であり、個別の事案の結論を保証するものではありません。X(旧Twitter)の仕様・報告手順や法令の運用は変更されることがあります。掲載した判例・条文は公表されたものに基づきますが、個別の当てはめは弁護士にご相談ください。監修:難波みなみ法律事務所 代表弁護士 南宜孝(大阪弁護士会)。

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