交通事故のあと、保険会社から「交通事故証明書を取ってください」と言われて、はじめてその存在を知る方がほとんどです。
この書類は、自分で取ることも、加害者側の保険会社から取り寄せてもらうこともできます。取り方によって、手元に届くまでの日数がまったく違います。
そして、受け取った証明書を見て「自分が『甲』になっている。自分のほうが悪いということですか」と不安になる方が少なくありません。そうではありません。その理由は、証明書そのものに書いてあります。
この記事の結論
交通事故証明書は、事故があったという事実を証明する書類です。証明書には「なお、この証明は、損害の種別とその程度、事故の原因、過失の有無とその程度を明らかにするものではありません」と印刷されています。甲と乙の記載で過失割合は決まりません。
取り方は3つあり、センター事務所の窓口なら即日、郵便局とインターネットは10日程度かかります。手数料はどれも1通1,000円です。
人身事故は事故から5年、物件事故は3年を過ぎると、原則として交付を受けられません。
交通事故証明書は、事故があったことだけを証明する書類です
交通事故証明書は、自動車安全運転センター法にもとづいて、自動車安全運転センターの都道府県方面事務所長が交付する書面です。警察から提供された資料にもとづいて、交通事故の事実を確認したことを証明します。
自動車安全運転センターは、この証明書を「交通事故に遭われた方の財産や権利を守るための重要な書類です」と位置づけ、「交通事故に遭われたときは、必ず警察に届出をして、後日、交通事故証明書の交付を受けるようにしてください」と案内しています。
大前提として、警察への届出がなければ発行されません。自動車安全運転センターも「警察への届出のない事故については交通事故証明書の発行はできませんのでご注意下さい」と明記しています。
その場で「警察を呼ばずに済ませましょう」と言われても、応じないでください。あとから作れる書類ではありません。
何のために使うのか
この書類は、事故のあとに動くほぼすべての手続の入口になります。
| 場面 | 使われ方 |
|---|---|
| 自賠責保険への被害者請求 | 添付書類として必要になります |
| 任意保険への請求 | 事故の事実確認に使われます |
| ご自身の人身傷害保険・車両保険 | 同じく請求時に必要になります |
| 相手の連絡先・保険の確認 | 相手方の氏名、住所、自賠責の契約先が記載されます |
| 訴訟 | 事故の発生と当事者を裏づける証拠として提出します |
当事務所でも、ご相談を受けたときはまず交通事故証明書で事故の概要を把握します。お手元にない場合は、加害者側の保険会社から取り寄せることが多いところです。
ご自身で取りに行かなくても済むことがあります。相手方に任意保険が付いていて、保険会社が対応している事故では、保険会社が証明書を取得していることがほとんどです。写しの送付を頼めば、費用も手間もかかりません。
当事務所では、受任通知を送る際に、事故証明書のほか経過診断書、診療報酬明細書、既払いの明細、車検証等の写しの送付をあわせて依頼しています。
3つの取り方と、届くまでの日数
取り方は3つあります。手数料はどれも1通1,000円(消費税非課税)で同じですが、届くまでの日数が違います。
| 取り方 | 手数料 | 別途かかるもの | 届くまで |
|---|---|---|---|
| センター事務所の窓口 | 1,000円 | なし | 原則として即日 (警察署等から交通事故資料が届いていれば) |
| ゆうちょ銀行・郵便局 | 1,000円 | 払込料金 | 通常10日程度 |
| インターネット | 1,000円 | 払込手数料1通143円 (金融機関の費用が別にかかることもあります) |
10日程度かかる場合があります |
いちばん早いのは、窓口です
センター事務所の窓口では、交通事故資料が警察署等から届いていれば、原則としてその場で交付されます。資料がまだ届いていない場合は、後日、申請者の住所または希望した宛先へ郵送されます。
事故が起きた都道府県まで行く必要はありません。自動車安全運転センターは「交通事故の発生場所がどの都道府県であっても、最寄りのセンター事務所でお申込みができます」としています。ただし他府県の事故は後日郵送になります。
なお、本部では申請を受け付けていません。各都道府県のセンター事務所の窓口へ直接お申し込みください。
申込用紙は、警察署や交番にも置いてあります
ゆうちょ銀行・郵便局で申し込むときに使う交通事故証明書申込用紙(払込取扱票および振替払込請求書兼受領証)は、センター事務所のほか、警察署・交番・駐在所にも備え付けられています。窓口申請用の用紙は、センター事務所にあります。
用紙は都道府県によって異なります。事故があった都道府県のものを使ってください。
申請してから1年放置すると、手数料は戻りません。記載内容に誤りがあるなどで交付ができない場合に、申請日から1年が経過すると不交付扱いになり、手数料は返金されません。交付を希望する場合は、改めて申請し直すことになります。
センター事務所から電話等で確認の連絡が入ることがあります。連絡が取れないまま時間が過ぎるとこの扱いになりますので、申込用紙に書く連絡先は、必ずつながるものにしてください。
申請できるのは、当事者と「正当な利益のある方」です
誰でも取れる書類ではありません。申請できるのは次の方です。
- 交通事故の加害者
- 被害者
- 交通事故証明書の交付を受けることについて、正当な利益のある方
自動車安全運転センターは、例として損害賠償の請求権のある親族、保険金の受取人を挙げています
「正当な利益のある方か否かの確認をさせていただく場合があります」とされています。また、代理人が申請する場合は、申請者本人の委任状が必要です。
よくある場面
ご家族が亡くなった事故で、相続人が取る場合、損害賠償の請求権のある親族にあたりますので、申請できます。
同乗していて怪我をした場合、被害者ですので、ご自身で申請できます。運転していた方に頼む必要はありません。
ネット申請には、3つの制限があります
インターネット申請は手軽ですが、誰でも使えるわけではありません。自動車安全運転センターは、次の制限を明記しています。
この3つに当てはまらないと使えません
1 警察に届出されていない交通事故の証明書は申請できません。
2 交通事故の当事者ご本人以外の方は申請できません。
3 交通事故発生時に警察へ届け出られたご住所に、現在もお住まいの方に限ります。申請者本人の確認のため、交通事故証明書に記載の住所以外への郵送はできないとされています。
つまり、事故のあとに引っ越した方は、インターネットでは取れません。ご遺族や保険金の受取人も、当事者本人ではありませんので使えません。この場合は、窓口か郵便局で申し込むことになります。
支払方法と、7日の期限
インターネット申請の手数料は、コンビニ(セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマート、ミニストップ、デイリーヤマザキ、セイコーマート)、金融機関のペイジー、ネットバンクで支払います。
支払は7日以内です。「手数料等のお支払いは7日以内にお願いします。7日を経過しますと自動的にキャンセルの扱いとなります」とされています。
また、払込手数料1通143円は、取消し(返金)に対応していません。コンビニ等の店頭でも取消しできませんので、申し込む前に内容を確認してください。
甲と乙の記載で過失割合は決まりません
受け取った証明書を見て、いちばん多く聞かれるのがこれです。
ご相談でよくある質問
「私が『甲』になっています。甲のほうが悪い、ということでしょうか。相手の保険会社にそう言われそうで不安です。」
証明書そのものに、答えが書いてあります
交通事故証明書の下のほうには、次の文章が印刷されています。
証明書に印刷されている文言
「上記の事項を確認したことを証明します。
なお、この証明は、損害の種別とその程度、事故の原因、過失の有無とその程度を明らかにするものではありません。」
証明書自身が、過失については何も証明していないと宣言しています。甲欄に載っていることを理由に、過失が大きいと決めつけられることはありません。
では、甲と乙は何で決まっているのか
現場の状況を確認した警察官が、過失がより大きいと判断した当事者を「甲」としているという見方があります。ただし、そうと決まっているわけではありませんし、それで過失割合が決まるわけでもありません。
実務上の意味があるとすれば、実況見分調書などが、どのような見立てをもとに作成されているのかを推し量る材料のひとつになるという程度です。
相手方の保険会社から「証明書で甲になっていますよね」と言われたら、そのまま受け入れないでください。証明書のなお書きを示せば足ります。
過失割合は、実況見分調書やドライブレコーダー、現場の状況をもとに、別途決めていくものです。決め方は交通事故の過失割合は誰が決める?で説明しています。
証明書のどこを見るか
1枚の紙ですが、被害者側にとって重要な情報が詰まっています。
実際の様式にならって作図した見本です。色をつけた3か所が、被害者側にとってとくに重要な欄です。
自賠責保険関係の欄に、相手の保険が載ります
甲欄・乙欄にはそれぞれ自賠責保険関係という欄があり、自賠責保険の有無、契約先の保険会社、証明書番号が記載されます。
相手が無保険かどうかを、最初に確認できる場所です。ここが「無」になっていれば、自賠責保険そのものがありません。その場合の請求先は交通事故の相手が無保険にまとめています。
「有」であれば、契約先と証明書番号がわかりますので、相手が任意保険に入っていなくても、自賠責保険へ直接請求できます。
事故時の状態の欄で、歩行者か同乗者かがわかります
運転・同乗(運転者氏名)・歩行・その他のいずれかに印が付きます。同乗していた場合は、運転していた方の氏名も記載されます。
同乗者は、証明書のどこに表れるか
ご家族が同乗していた事故では、ここも見ておいてください。
いま見た事故時の状態の欄のほか、証明書の右側には備考欄があり、甲・乙以外の当事者の有無が「有」「無」で示されます。
証明書は、警察から提供された資料をもとに作られます。その場で警察に伝えていないことは、証明書には表れません。
あとから痛みが出てくることは、めずらしくありません。少しでも体に違和感があるなら、その場で申告しておいてください。同乗していた方も同じです。
「物件事故」と書かれていたら
証明書のいちばん下に照合記録簿の種別という欄があり、人身事故か物件事故かが記載されます。
けがをしているのに物件事故と書かれている場合は、警察に人身事故として届け出られていません。物損事故と呼ばれることも多い扱いです。
まず、人身事故への切り替えを検討します
切り替えは、診断書を添えて警察署に申告して行います。ただし、事故から数か月が経過していると、捜査が開始されないことがあります。気づいた時点で早めに動いてください。手続は物件事故から人身事故への切り替えで詳しく説明しています。
切り替えられなかったときは、理由書を出します
ここが実務の要です
物件事故として扱われている場合は、物件事故であることが記載された事故証明書が発行されます。この場合に自賠責保険へ被害者請求をするときは、「人身事故証明書入手不能理由書」を提出します。
物件事故のままでも、自賠責保険への請求ができなくなるわけではありません。理由書という代わりの書類が用意されています。「人身にできなかったからもう請求できない」と諦めないでください。
ただし、物件事故のままだと不利になる面はあります。物件事故として処理されていれば作成されるのは物件事故報告書ですが、事故態様の記載は簡略です。人身事故で作成される実況見分調書と比べて、過失割合を争うときの資料としては弱くなります。
人身5年・物件3年を過ぎると、原則もらえません
この記事でもっともお伝えしたい点です。交通事故証明書には、取れなくなる期限があります。
保存期間
自動車安全運転センターは、「交通事故証明書は、人身事故については事故発生から5年、物件事故については事故発生から3年をそれぞれ経過したものについては原則交付できません」としています。
| 種別 | いつから | いつまで |
|---|---|---|
| 人身事故 | 事故発生から | 5年 |
| 物件事故 | 事故発生から | 3年 |
詳しくは事故が起きた都道府県のセンター事務所に問い合わせることになりますが、物件事故の3年は、あっという間です。
時効との関係で、これが効いてきます。物損の損害賠償請求権は3年で時効消滅します。ぎりぎりで動き出したときに、証明書のほうも同時に取れなくなっているという事態が起こります。
人身についても、加害者本人への請求は5年ですが、証明書の5年と重なります。請求先ごとの期間は交通事故の相手が無保険で整理しています。
おすすめしていること
事故のあと、早い段階で1通取って手元に置いておいてください。1,000円です。あとで必要になったときに取れなくなっているリスクを考えれば、安いものです。
保険会社が取得しているなら、その写しをもらうだけでも構いません。
証明書が発行されない場所があります
すべての事故で発行されるわけではありません。道路交通法が適用されない場所での事故では、人身事故の事故証明書が発行されません。
駐車場は、どちらになるのか
迷いやすいのが駐車場です。判断の分かれ目は不特定多数の人や車両が自由に通行できるかどうかです。
| 場所 | 道交法の適用 | 事故証明書 |
|---|---|---|
| ショッピングセンターの駐車場 コインパーキングなど |
適用されます 「一般交通の用に供するその他の場所」(道路交通法2条1項1号) |
発行されます |
| 関係者しか入れない私有地 敷地内の通路など |
適用されないことがあります | 発行されないことがあります |
裁判例でも、道路状の私有地について最高裁判所昭和44年7月11日判決が、コインパーキングの駐車場について東京高等裁判所平成13年6月12日判決が、それぞれ道路交通法2条1項1号の「道路」にあたるとしています。
「駐車場の事故だから警察を呼ばなくていい」というのは誤りです。多くの商業施設の駐車場は道路交通法が適用されます。まず警察を呼んでください。
証明書で決まること、決まらないこと
ここまで「過失割合は決まらない」と書いてきましたが、では何が証明できるのかを整理しておきます。
証明できる範囲
交通事故証明書と実況見分調書が得られれば、通常、加害者の運転行為によって事故が発生したという因果関係は一応立証でき、後は過失の問題となります。
つまり、「相手の運転で、この事故が起きた」というところまでは、この2つで足りることが多いのです。争いになるのは、そこから先のどちらにどれだけの落ち度があったかという部分です。
| 資料 | わかること | 限界 |
|---|---|---|
| 交通事故証明書 | 事故があったこと/当事者/日時・場所/自賠責の有無/人身か物件か | 過失の有無と程度、損害の種別と程度は示しません |
| 実況見分調書 | 事故の状況、見取図。受傷の有無・程度や過失相殺率を判断する重要な資料です | 参考となる事情がすべて記載されているわけではありません |
| 物件事故報告書 | 物件事故として処理された場合に作成されます | 事故態様の記載は簡略です |
| ドライブレコーダー | 事故直前からの映像。信号の表示や相手方の動きを、そのまま確認できます | データは上書きされます。表示される速度は正確でないことがあります |
| 事故発生状況報告書 | 被害者から保険会社に提出するもので、事故発生状況が簡単に図示されます | 当事者が作成したものです |
刑事記録には、廃棄の期限があります。検察庁の記録は、判決を含め確定から5年で廃棄されてしまいます。実況見分調書が必要になりそうな事案では、早めに取り付けを検討してください。
物件事故報告書の取り付けは、弁護士会照会によることになります。
現場は、証明書に写りません
証明書にも、実況見分調書にも、載らないものがあります。
当事務所が現場を見に行く理由
事故状況のもっとも重要な証拠は実況見分調書ですが、そこに参考となる事情がすべて記載されているわけではありません。見取図の正確さだけでなく、見通し(障害物)、交通量、道路の形状(カーブ、起伏)、周囲の環境(明るさ)など、現場に行って初めてわかることは多いところです。
過失割合が争われる事案では、当事務所も現場を確認します。紙の上だけでは、その場所がどう見えるのかがわかりません。
事故のあとにしておいていただきたいこと
可能であれば、現場の写真をスマートフォンで撮っておいてください。地図やストリートビューでも確認できますが、その日の明るさや路面の状態は、その場でしか残せません。
また、周辺のコンビニや駐車場の防犯カメラに録画されていないか、早めに問い合わせてください。ドライブレコーダーの映像も重要な証拠になりますが、データは上書きされます。SDカードを抜いて保存しておいてください。
証明書の取得費用は、相手に請求できます
1通1,000円と払込手数料は、自分で負担して終わりではありません。
交通事故証明書料や診断書料等の文書料は、損害賠償請求関係費用として、必要かつ相当な範囲で認められます。
示談交渉や訴訟のときに、損害の一項目として計上します。領収書は保管しておいてください。
なお、後遺障害が認められなかった場合の後遺障害診断書の作成料については、判断が分かれています。後遺障害の手続については後遺障害認定とはをご覧ください。
証明書を見て、気になることがあれば
交通事故証明書は1枚の紙ですが、そこから読み取れることは少なくありません。相手に自賠責保険が付いているか、人身と物件のどちらで処理されているか、備考欄に甲・乙以外の当事者がいると記載されているか。この3点だけでも、その後の進め方が変わります。
難波みなみ法律事務所では、交通事故のご相談を承っています。証明書をお持ちいただければ、その場で確認します。お手元になくても構いません。弁護士費用特約が使えれば、ご自身の負担なくご依頼いただける場合があります。特約を使っても等級は下がりません。
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よくある質問
Q. 交通事故証明書とは、どういう書類ですか。
A. 交通事故の事実を確認したことを証明する書類です。自動車安全運転センター法にもとづき、自動車安全運転センターの都道府県方面事務所長が、警察から提供された資料にもとづいて交付します。センターは、交通事故に遭われた方の財産や権利を守るための重要な書類だとしています。
Q. どこでもらえますか。
A. 3つの方法があります。自動車安全運転センターの都道府県事務所の窓口、ゆうちょ銀行・郵便局での払込み、自動車安全運転センターのサイトからのインターネット申請です。本部では申請を受け付けていませんので、各都道府県のセンター事務所へ直接お申し込みください。
Q. 手数料はいくらですか。
A. 1通につき1,000円で、消費税は非課税です。ゆうちょ銀行・郵便局からの申込みでは別途払込料金がかかります。インターネット申請では払込手数料として1通につき143円がかかり、これに加えて金融機関が定める費用が申請者負担になることがあります。
Q. 申し込んでから、どのくらいで届きますか。
A. 方法によって違います。ゆうちょ銀行・郵便局からの申込みは、通常10日程度で手元に届きます。インターネット申請も、入金確認後の手続と郵送を含めて10日程度かかる場合があります。センター事務所の窓口では、交通事故資料が警察署等から届いていれば原則として即日交付されます。
Q. いちばん早く受け取る方法はどれですか。
A. センター事務所の窓口です。交通事故資料が警察署等から届いていれば、原則としてその場で交付されます。資料がまだ届いていない場合は、後日、申請者の住所または希望した宛先へ郵送されます。
Q. 事故が起きたのは他県です。そこまで行く必要がありますか。
A. 必要はありません。交通事故の発生場所がどの都道府県であっても、最寄りのセンター事務所で申し込めます。ただし他府県での事故の場合は、その場では交付されず、後日郵送になります。
Q. 誰が申請できますか。
A. 交通事故の加害者、被害者、そして交通事故証明書の交付を受けることについて正当な利益のある方です。正当な利益のある方の例として、損害賠償の請求権のある親族や保険金の受取人が挙げられています。正当な利益のある方かどうかの確認をされる場合があります。
Q. 家族が代わりに申請できますか。
A. 代理人が申請する場合は、申請者本人の委任状が必要になります。なお、亡くなった方のご遺族で損害賠償の請求権がある場合や、保険金の受取人である場合は、正当な利益のある方としてご自身の名前で申請できます。
Q. インターネットなら簡単に取れますか。
A. 3つの制限があります。警察に届出されていない交通事故の証明書は申請できません。交通事故の当事者ご本人以外の方は申請できません。交通事故発生時に警察へ届け出られた住所に現在もお住まいの方に限られ、交通事故証明書に記載の住所以外への郵送はできないとされています。
Q. 事故のあとに引っ越しました。インターネットで取れますか。
A. 取れません。交通事故発生時に警察へ届け出た住所に現在もお住まいの方に限られており、証明書に記載の住所以外への郵送ができないためです。窓口またはゆうちょ銀行・郵便局からお申し込みください。
Q. 警察に届けていない事故でも、証明書は取れますか。
A. 取れません。自動車安全運転センターは、警察への届出のない事故については交通事故証明書の発行はできないと明記しています。事故に遭ったときは、その場で必ず警察に届け出てください。あとから作れる書類ではありません。
Q. 事故から何年まで取れますか。
A. 人身事故については事故発生から5年、物件事故については事故発生から3年をそれぞれ経過したものについては、原則として交付できないとされています。詳しくは事故が起きた都道府県のセンター事務所にお問い合わせください。早めに1通取っておくことをおすすめします。
Q. 証明書に「物件事故」と書かれています。どういう意味ですか。
A. 証明書の最下段にある照合記録簿の種別という欄に、人身事故か物件事故かが記載されます。物件事故は物損事故とも呼ばれ、けがのない事故として警察に処理されたことを意味します。けがをしているのに物件事故になっている場合は、人身事故への切り替えを検討してください。
Q. 人身事故に切り替えたいのですが、どうすればよいですか。
A. 診断書を添えて警察署に申告して行います。ただし、事故から数か月が経過していると捜査が開始されないことがあります。気づいた時点で早めに動いてください。
Q. 人身事故に切り替えられませんでした。もう自賠責に請求できませんか。
A. 請求できます。物件事故として扱われている場合は、物件事故であることが記載された事故証明書が発行されます。この場合に自賠責保険へ被害者請求をするときは、人身事故証明書入手不能理由書を提出します。代わりの書類が用意されていますので、諦めないでください。
Q. 甲と乙は、どう決まっているのですか。
A. 現場の状況を確認した警察官が、過失がより大きいと判断した当事者を甲としているという見方があります。ただし、そうと決まっているわけではありません。実況見分調書などがどのような見立てをもとに作成されているのかを推し量る材料のひとつになる、という程度のものです。
Q. 私が甲になっています。過失が大きいということですか。
A. そうではありません。証明書には「なお、この証明は、損害の種別とその程度、事故の原因、過失の有無とその程度を明らかにするものではありません」と印刷されています。証明書自身が、過失については何も証明していないと述べています。過失割合は、実況見分調書やドライブレコーダー、現場の状況をもとに別途決めていくものです。
Q. 相手が自賠責保険に入っているかを知りたいのですが。
A. 証明書の甲欄・乙欄には、それぞれ自賠責保険関係という欄があり、自賠責保険の有無、契約先の保険会社、証明書番号が記載されます。ここが無になっていれば、自賠責保険そのものがありません。有であれば、相手が任意保険に入っていなくても自賠責保険へ直接請求できます。
Q. 同乗していた家族は、証明書に載りますか。
A. 甲欄・乙欄の事故時の状態という欄に、運転・同乗(運転者氏名)・歩行・その他という選択肢があり、同乗していた場合は運転していた方の氏名も記載されます。また、証明書の右側の備考欄に、甲・乙以外の当事者の有無が示されます。証明書は警察から提供された資料をもとに作られますので、その場で警察に伝えていないことは表れません。
Q. 駐車場での事故でも、証明書は出ますか。
A. 出ることが多いところです。ショッピングセンターの駐車場やコインパーキングなど、不特定多数の人や車両が自由に通行できる場所は、一般交通の用に供するその他の場所として道路交通法2条1項1号の道路にあたり、道路交通法が適用されます。駐車場だから警察を呼ばなくてよい、というのは誤りです。
Q. 私有地での事故はどうなりますか。
A. 道路交通法が適用されない場所での事故では、人身事故の事故証明書が発行されないことがあります。もっとも、道路状の私有地について最高裁判所昭和44年7月11日判決が、コインパーキングの駐車場について東京高等裁判所平成13年6月12日判決が、それぞれ道路交通法2条1項1号の道路にあたるとしています。関係者しか入れない敷地内かどうかが分かれ目になります。
Q. 何通取ればよいですか。
A. 申請書1通で、同一の証明書を何通でも申し込めます。ただし通数に応じて料金は変わります。自賠責保険への請求、任意保険への請求、ご自身の保険への請求と、提出先が複数になることがありますので、必要な数を確認してから申し込んでください。
Q. 取得にかかった費用は、相手に請求できますか。
A. 請求できます。交通事故証明書料や診断書料等の文書料は、損害賠償請求関係費用として、必要かつ相当な範囲で認められます。示談交渉や訴訟のときに損害の一項目として計上しますので、領収書は保管しておいてください。
Q. 保険会社が持っているようです。自分で取る必要はありますか。
A. 写しをもらえるなら、それで足りることが多いところです。相手方に任意保険が付いていて保険会社が対応している事故では、保険会社が証明書を取得していることがほとんどです。当事務所でも、受任通知を送る際に事故証明書のほか経過診断書、診療報酬明細書、既払いの明細、車検証等の写しの送付をあわせて依頼しています。
Q. 交通事故証明書と実況見分調書は、何が違いますか。
A. 交通事故証明書は、事故があったこと、当事者、日時・場所、自賠責の有無、人身か物件かを示します。実況見分調書は事故の状況と見取図を記録したもので、受傷の有無・程度や過失相殺率を判断する重要な資料です。この2つが得られれば、通常、加害者の運転行為によって事故が発生したという因果関係は一応立証でき、後は過失の問題となります。
Q. 証明書があれば、過失割合の話は進みますか。
A. 証明書だけでは足りません。証明書は過失の有無とその程度を明らかにするものではないと自ら述べています。過失割合を争うときは、実況見分調書やドライブレコーダー、車両の損傷状況、現場の状況を検討することになります。物件事故として処理されていると物件事故報告書が作成されますが、事故態様の記載は簡略です。
Q. 申し込んだのに、いつまでも届きません。
A. 証明書の交付に際して確認を要する事項がある場合などに、センター事務所から電話等で問い合わせがされることがあります。この連絡が取れない状態で申請日から1年が経過すると不交付扱いとなり、手数料は返金されません。申込用紙に書く連絡先は、必ずつながるものにしてください。
Q. インターネットで申し込みましたが、支払を忘れていました。
A. 手数料等の支払は7日以内とされており、7日を経過すると自動的にキャンセルの扱いになります。改めて申し込んでください。なお、いったん入金した払込手数料1通143円は、取消し・返金に対応していません。
Q. 証明書を見ても、どこを見ればよいかわかりません。
A. まず3つを見てください。相手に自賠責保険が付いているか、人身事故と物件事故のどちらで処理されているか、備考欄に甲・乙以外の当事者がいると記載されているかです。この3点だけでも、その後の進め方が変わります。難波みなみ法律事務所では、証明書をお持ちいただければその場で確認します。
この記事は、自動車安全運転センターの公表資料、道路交通法および裁判所の判断、ならびに交通事故の実務に関する文献をもとに、難波みなみ法律事務所の弁護士が作成しました。個別の事案については、具体的な事情によって結論が変わることがあります。






