交通事故の慰謝料は、示談が成立してから振り込まれるのが原則で、時期は「誰から受け取るか」で変わります。示談成立後の入金の目安、自賠責・任意保険それぞれの期間、そして示談を待たずに受け取る方法(内払い・仮渡金・被害者請求)まで、被害者側の視点で解説します。
Q. 慰謝料はいつもらえますか?
A. 示談成立後、示談書を返送してから概ね1〜2週間で振り込まれるのが一般的です。ただし支払元によって幅があります。
Q. 示談を待たずに受け取る方法はありますか?
A. あります。任意保険の内払い、自賠責の仮渡金、自賠責への被害者請求の3つが代表的です。
Q. 訴訟になると遅くなりますか?
A. 受け取りまで長くかかりますが、事故日からの遅延損害金が上乗せされるため、遅れた分が補われる面があります。
支払われるまでの流れ
人身部分の慰謝料は、示談(示談交渉での合意)が成立してから支払われます。おおまかな流れは次のとおりです。
- 示談内容に合意する
- 保険会社から示談書(免責証書)が届く
- 署名・押印して返送する
- 保険会社の社内手続を経て、指定口座に振り込まれる
返送から入金までは1〜2週間程度が目安です。示談の「合意」から数えるのではなく、示談書を返送した後に手続が動く点に注意してください。
誰から受け取るかで時期が違う
同じ慰謝料でも、支払元によって振り込みまでの期間の目安は変わります。
| 支払元 | 振込までの目安 |
|---|---|
| 加害者の任意保険会社(示談成立後) | 合意・返送後おおむね1週間〜1か月 |
| 自賠責保険(被害者請求) | 請求書類がそろってから1〜3か月程度 |
| 訴訟(判決・裁判上の和解) | 解決まで半年〜1年以上かかることが多い |
いずれも事案や書類の整い方で前後します。あくまで目安としてお考えください。
示談を待たずにお金を受け取る3つの方法
治療が長引く、収入が減って生活が苦しいといった場合、示談の成立を待たずに受け取れる制度があります。
① 任意保険の内払い
加害者の任意保険会社が、賠償額の確定前に、治療費や休業損害などを必要に応じて先払いするものです。あくまで保険会社の対応(サービス)であり、必ず応じてもらえるとは限りません。なお、この一括対応(内払い)を受けている間は、次の自賠責の仮渡金はこの内払いに吸収されるため、別に仮渡金を請求する場面は多くありません。
② 自賠責の仮渡金
当面の出費のために、自賠責保険へ請求できる前払い制度です(自動車損害賠償保障法17条、同法施行令5条)。金額は程度に応じて定額で決まっています。
| 区分 | 仮渡金の額 |
|---|---|
| 死亡 | 290万円 |
| 傷害(重い:脊柱骨折で脊髄損傷、大腿・下腿の骨折、腹膜炎を伴う内臓破裂、14日以上入院かつ30日以上の治療 等) | 40万円 |
| 傷害(中:脊柱・上腕・前腕の骨折、内臓破裂、30日以上の治療を要する入院 等) | 20万円 |
| 傷害(11日以上の医師の治療を要するもの) | 5万円 |
仮渡金は損害賠償額の一部の前渡しです。加害者側の賠償責任の有無にかかわらず請求でき、当座の出費に充てられます。あとで確定した賠償額から差し引かれ、確定額が仮渡金を下回ったときは差額を返す必要があります(自動車損害賠償保障法17条3項)。
③ 自賠責への被害者請求
示談を待たず、被害者が自分で自賠責へ請求して先に受け取る方法です。傷害部分の枠(治療費・休業損害・慰謝料などの合計で120万円)の範囲で、確定した分を回収できます。手続の詳細は関連記事で解説しています。
訴訟になったときの時期と、遅延損害金
示談がまとまらず訴訟になると、受け取りまで半年から1年以上かかることも珍しくありません。ただし、判決では事故の日からの遅延損害金が上乗せされます。利率は、事故日が2020年4月1日以降なら年3%、それより前の事故は年5%です。時間がかかった分の一部は、この遅延損害金で補われます。
先に受け取ったお金があっても、最終的に損をするわけではありません。賠償額を確定するとき、仮渡金や内払いなどで先に受け取った分は、まず事故の日からの遅延損害金に充てられ、残りが元本に充当されます。最高裁もこの考え方をとっており、先に受け取ったお金を単純に元本から差し引くわけではありません。生活のために早めに受け取ることを、ためらう必要はありません。
支払いが遅い・振り込まれないとき
示談書を返送したのに入金がない場合は、まず保険会社に処理状況を確認します。加害者本人と示談した(保険を使わない)ケースでは、支払いが滞るリスクがあるため、示談書を公正証書にする、分割払いなら期限の利益喪失条項を入れるなどの備えが有効です。回収に不安がある場合は弁護士にご相談ください。
よくある質問
示談が成立してから、慰謝料はどれくらいで振り込まれますか?
示談書を返送してから概ね1〜2週間が目安です。ただし支払元や書類の整い方で前後します。
治療中でお金がありません。示談前に受け取れませんか?
任意保険の内払い、自賠責の仮渡金、自賠責への被害者請求という方法があります。仮渡金は程度に応じて死亡290万円・傷害40万/20万/5万円が定められています。
自賠責への被害者請求だと、いつ入金されますか?
請求書類がそろってから1〜3か月程度が目安です。書類の不備があるとさらに時間がかかります。
訴訟にすると受け取りが遅くなるだけですか?
解決までは長くかかりますが、事故日からの遅延損害金(2020年4月1日以降の事故は年3%)が上乗せされるため、遅れた分の一部は補われます。
加害者本人と示談しました。支払いが心配です。
示談書を公正証書にする、分割払いなら期限の利益喪失条項を入れるなどで備えられます。滞納が生じたときの回収も含め、弁護士にご相談ください。
早くお金を受け取ると、最終的な金額は減りますか?
減りません。仮渡金や内払いなどで先に受け取った分は、賠償額の確定時に、まず事故の日からの遅延損害金へ充てられ、残りが元本に充当されます。単純に元本から差し引かれるわけではないので、生活のために早めに受け取ることをためらう必要はありません。
「いつもらえるのか」「今すぐ生活費が必要」といったお悩みは、内払い・仮渡金・被害者請求の使い分けで解決できることがあります。難波みなみ法律事務所は交通事故(被害者側)を着手金無料でお受けしています。初回相談30分無料、電話・メール・LINEで対応します。
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監修:難波みなみ法律事務所 代表弁護士 南 宜孝(大阪弁護士会)。大阪市中央区西心斎橋2-4-3 難波御堂筋ビル403/電話 06-6786-8103(受付9:00〜22:00)。初回相談30分無料。






