コラム
公開日: 2026.08.19

交通事故の弁護士費用はいくら?費用倒れになる分岐点

難波みなみ法律事務所代表弁護士・中小企業診断士。大阪弁護士会所属(登録番号49544)、大阪中小企業診断士会所属(登録番号 420113)、幻冬舎「GOLDONLINE」連載第1回15回75回執筆担当。法的な問題には、法律の専門家である弁護士の助けが必要です。弁護士ドットコムココナラ弁護士ナビに掲載中。いつでもお気軽にご相談ください。初回相談無料(30分)。

交通事故で弁護士に依頼するとき、いちばん気になるのは「いくらかかるのか」だと思います。ただ、この問いには2つの別々の答えがあります。自分が弁護士に払う金額と、相手に負担させられる金額です。この2つは金額も決まり方もまったく違います。

ここを分けずに読むと、費用の見通しを誤ります。この記事では、当事務所の実際の料金表を示したうえで、裁判所が相手にいくら負担させているのか、そしてどこから先が費用倒れになるのかを、裁判例の実額と具体的な計算で示します。

結論から

Q. 弁護士費用は誰が払いますか?

依頼した本人です。ただし裁判で判決を得た場合に限り、認容額の約1割を弁護士費用として相手に負担させられます。全額ではありません。

Q. いくらかかりますか?

当事務所の交通事故(被害者側)は着手金が無料です。示談交渉の報酬金は回収額の26.4%(税込。回収額300万円未満の場合。最低44万円)。弁護士費用特約があれば実質無料になります。

Q. 費用倒れになるのはどんなときですか?

示談交渉で解決する場合、弁護士が入って増える見込みが44万円を下回るときです。着手金は無料なので、判断材料は報酬金だけです。回収額が約167万円までは報酬金が44万円で固定されるため、少額の物損だけの事案は特に注意が必要です。

弁護士費用には「自分が払う分」と「相手に請求できる分」があります

まずこの区別から始めます。ここが曖昧なまま費用の話を読むと、必ず見通しを誤ります。

自分が払う分は、依頼した弁護士との委任契約で決まります。着手金、報酬金、実費などです。金額は事務所ごとの報酬基準によります。

相手に請求できる分は、これとはまったく別の話です。裁判所が「この事故と相当な因果関係のある損害」として認めた金額であって、実際に弁護士に払った着手金や報酬金がそのまま認められるわけではありません。

ここを誤解している方が非常に多いところです。「弁護士費用は加害者に払わせればいい」と考えて依頼したものの、実際に相手が負担するのは判決で認められた一部だけだった、ということが起こります。差額は自分の取り分から出ていきます。

そもそも、なぜ相手に請求できるのか

日本の法律は弁護士を立てることを強制していません。本人で訴訟をするか弁護士に頼むかは、当事者が選べます。それなら弁護士費用は自己負担が筋のはずです。

それでも相手に負担させられるのは、最高裁が「現在の訴訟は専門化・技術化しており、一般の人が単独で十分な訴訟活動をするのはほとんど不可能に近い」と述べたからです(最判昭和44年2月27日)。弁護士に頼まざるを得ないのなら、その費用も事故によって生じた損害だ、という考え方です。

ただし、この理屈には範囲があります。最高裁は別の判決で、損害として認められるのは弁護士に訴訟追行を委任し、かつ相手方に勝訴した場合に限るとしました(最判昭和58年9月6日)。訴訟を起こしていなければ、この枠には乗りません。

着手金・報酬金・実費の役割

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名称いつ払うか何の対価か
着手金依頼するとき結果がどうなっても返ってきません。動くこと自体への対価です
報酬金解決したとき成功の程度に応じて発生します。回収できなければ発生しません
実費随時収入印紙代、郵便切手代、記録の謄写料、交通費など。実際にかかった額です

このうち相手に請求できる可能性があるのは、着手金と報酬金に相当する部分だけです。実費は、訴訟費用の問題として別に扱われます。

当事務所の弁護士費用(交通事故・被害者側)

当事務所は、交通事故の被害者側について着手金を無料としています。手元からお金を出さずに依頼でき、回収できたときにだけ報酬金が発生します。回収できなければ報酬金も発生しません。

示談交渉・ADR

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項目金額
着手金無料
報酬金回収した損害賠償額に対して
・回収額が300万円未満26.4%(最低報酬44万円)
・回収額が300万円以上16.5%+29.7万円

訴訟(裁判)

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項目金額
着手金無料
報酬金次の①と②を合計した金額

① 請求額を基準とする部分
・請求額が300万円未満:8.8%
・請求額が300万円以上:5.5%+9.9万円

② 回収額を基準とする部分
・回収額が300万円未満:17.6%
・回収額が300万円以上:11%+19.8万円
訴訟の報酬金だけ、計算の仕方が2階建てになっています。訴訟では、いくら請求するかを決めて主張を組み立てる作業と、実際にいくら回収できたかという結果が、それぞれ別の労力と成果にあたるためです。訴訟でも着手金はいただきません。

訴訟の報酬金の計算例|500万円を請求して400万円を回収した場合

着手金0円
① 請求額500万円 × 5.5% + 9.9万円37万4,000円
② 回収額400万円 × 11% + 19.8万円63万8,000円
報酬金(①+②)101万2,000円

この事案を判決まで進めれば、認容額400万円の約1割にあたる40万円前後が、弁護士費用として相手方の負担になります。ただし後述のとおり、和解で終わる場合にこの上乗せは付きません。

後遺障害等級認定のサポート(異議申立てを含む)

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項目金額
着手金無料(示談交渉・訴訟の費用に含みます)
報酬金示談交渉・訴訟の報酬に含みます。認定された等級が上がった場合の追加賠償額を、回収額として計算します

金額はいずれも消費税込みです。事案の難易度や争点の複雑さによって変動する場合があります。初回のご相談時にお見積りをお示しします。

報酬金の基礎になるのは「回収した金額」です。保険会社の提示額からいくら増えたか、ではありません。

そして示談交渉の場合、回収額が約167万円までは報酬金が最低額の44万円で固定されます。26.4%をかけても44万円に届かないためです。費用倒れになるかどうかは、ここで決まります。

相談料・実費・お支払い方法

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項目内容
法律相談料初回30分は無料
実費訴訟を起こすときの印紙代、郵便切手代、交通費など。受任時に概算をお示しします。示談交渉だけで終わる場合、実費はほとんど発生しません
お支払い方法銀行振込/クレジットカード(VISA・Mastercard・JCBほか)/分割払い(ご相談ください)
弁護士費用特約に加入していれば、実質的に無料です。自動車保険、火災保険、クレジットカードの付帯保険などに付いていることがあります。着手金・報酬金を含む弁護士費用(通常は上限300万円)が、保険会社から直接支払われます。付いているかどうかわからない場合も、当事務所で確認をお手伝いします。

相手に請求できる弁護士費用は「認容額の約1割」です

ここからが、もう一方の話です。裁判で判決を得た場合、裁判所が認めた賠償額のおおむね1割が、弁護士費用として上乗せされます。これは実務上ほぼ定着した扱いで、複数の裁判例が同じ考え方を採っています。

大切なのは、この1割が何に対する1割なのかです。ここを間違えると、金額の見通しが大きくずれます。

計算の順番

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順番すること意味
1損害額を積み上げる治療費、休業損害、慰謝料、逸失利益などを合計します
2過失相殺する自分の過失割合の分を差し引きます
3損益相殺する自賠責保険金や治療費の既払分など、すでに受け取った分を差し引きます
4残った額の約1割これが弁護士費用として認められる額です
1割をかけるのは、いちばん最後に残った金額です。最初の損害額ではありません。

たとえば損害額が500万円でも、過失割合が3割あって自賠責から120万円を受け取っていれば、残るのは500万円×0.7−120万円=230万円。弁護士費用として認められるのは、この230万円の1割で約23万円です。損害額500万円の1割である50万円ではありません。

弁護士費用に、さらに過失相殺はしません

ここで疑問が出ます。過失が3割あるなら、弁護士費用の23万円にも3割の過失相殺がかかるのではないか、という点です。

かかりません。最高裁が2度にわたって明確に否定しています。

最判昭和49年4月5日

弁護士費用は、すでに過失相殺をして減額した認容額を考慮して定められたものである。だから、そこから重ねて差し引くべきではない、としました。

最判昭和52年10月20日

事案の難易、請求額、認容額その他諸般の事情を考えて算定された額に、さらに過失相殺の規定を適用するのは相当でないと述べました。

つまり二重に引かれることはありません。過失相殺は3の段階で一度だけ働き、そのあとの1割はそのまま乗ります。

1割が変更されることも

1割はあくまで目安です。認容額が大きくなるほど割合は下がり、少額なら上がることがあります。事案の難易も考慮されます。

裁判所によっては、段階的に割合を下げる基準を用いています。名古屋地方裁判所の民事交通部で採られている考え方は次のとおりです。

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認容額弁護士費用の割合
500万円以下の部分10%
500万円を超え1000万円以下の部分7%
1000万円を超える部分5%

実際の裁判例でも、この傾向がはっきり出ています。損害額が5035万8967円だった事案で認められた弁護士費用は250万円で、割合にすると約5%でした(東京地判平成24年7月9日)。損益相殺後に4189万2445円が残った事案では300万円約7%です(広島地判平成21年1月30日)。

逆に、認容額が100万円を下回るような事案では、1割より高い割合が認められることもあります。

なお、弁護士費用の額に細かい端数を求める必要はありません。裁判官からも「弁護士費用が202万1012円というのはおかしくて、200万円にすべきです」という指摘が出ています。実務では、きりのよい数字に丸めるのが通例です。

示談・和解で終わる場合、弁護士費用は原則として付きません

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい点です。

これまで説明してきた「認容額の1割」は、判決まで進んだ場合の話です。示談や訴訟上の和解で解決する場合、弁護士費用も遅延損害金も付けないのが実務上の原則的な扱いになっています。早期に解決することの引き換え、という位置づけです。

つまり、判決なら上乗せされる1割が、和解では消えます。

交通事故の事件は大半が示談か和解で終わります。ということは、実際には弁護士費用を相手に負担させられないまま終わるケースのほうが多いということです。「弁護士費用は相手に払わせられる」という説明だけを読んで依頼すると、ここで見込みが狂います。

ただし例外的な運用もあります。金額のわずかな差で和解がまとまらないとき、遅延損害金に相当する額を「調整金」として上乗せすることがあります。弁護士費用についても同じように一定程度が上積みされることがありますが、特段の事情がある場合に限られます。

だからこそ、判決まで進むべきか和解で折り合うべきかの判断が重要になります。判決なら1割と遅延損害金が乗る一方、期間は延び、敗訴のリスクもあります。和解ならそれらは付きませんが、早く確実に終わります。この差額を計算したうえで判断するのが、弁護士の仕事の一部です。

費用倒れになるのはどんな場合か

「費用倒れ」とは、弁護士に払う費用が、弁護士に頼んで増えた金額を上回ってしまうことです。頼まないほうが手元に残った、という状態です。

ここでは抽象的な相場論ではなく、裁判所が実際に認めた弁護士費用の金額を見ていただきます。

裁判所が実際に付けた額

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裁判例過失相殺後に残った額認められた弁護士費用
東京地判平成24年7月20日7,500円(5万円の85%を相殺)1,000円
東京地判平成26年3月14日2万8,185円(物損5万6,370円の50%を相殺)5,000円
東京地判平成23年11月25日7万2,547円(24万1,825円の70%を相殺)1万円
横浜地判平成24年10月29日119万9,149円(修理代・評価損・代車費用)12万円
大阪地判平成26年1月28日151万円(修理費・代車費用)16万円

1000円、5000円、1万円。これが現実に判決で認められた金額です。着手金の最低額にも遠く及びません。

少額の物損では、請求自体が認められないこともあります

名古屋簡判平成16年3月11日

簡易裁判所での物損事案について、弁護士費用の請求自体を認めませんでした。理由はこうです。簡易裁判所への訴え提起は紛争の要点を明らかにすれば足り(民事訴訟法272条)、審理も短時間で終わる。立証も破損した車や事故現場の写真、本人の陳述に限られ、法律の専門家の助力を必要としない。過失割合が主な争点になるが、それ自体は難解ではない。請求額も過失相殺後の認容額も少額である。

そのうえで、こうした事案で弁護士費用を損害と認めるには、特段の事情がない限り慎重であるべきだと述べました。

本人で訴訟をした場合に「弁護士に頼んでいたら払っていたはずの着手金相当額」を請求した例もありますが、これも認められていません(東京地判平成14年9月9日)。実際に委任していなければ、損害にはならないという整理です。

分岐点はどこか|4つの具体例で計算します

当事務所の報酬基準で、実際に計算してみます。いずれも示談交渉で解決した場合です。着手金は無料なので、見るべきは報酬金だけです。

ケースA|提示60万円が120万円になった場合

着手金0円
報酬金(回収額120万円 × 26.4%=31万6,800円 → 最低額を適用)44万0,000円
費用の合計44万0,000円
弁護士が入って増えた額60万0,000円

手元に残る差額 +16万0,000円 → 依頼する意味があります

ケースB|提示30万円が50万円になった場合

着手金0円
報酬金(回収額50万円 × 26.4%=13万2,000円 → 最低額を適用)44万0,000円
費用の合計44万0,000円
弁護士が入って増えた額20万0,000円

手元に残る差額 −24万0,000円 → 費用倒れです

ケースC|物損だけ。提示10万円が15万円になった場合

着手金0円
報酬金(回収額15万円 × 26.4%=3万9,600円 → 最低額を適用)44万0,000円
費用の合計44万0,000円
弁護士が入って増えた額5万0,000円

手元に残る差額 −39万0,000円 → 大幅な費用倒れです

ケースD|提示150万円が400万円になった場合

着手金0円
報酬金(回収額400万円 × 16.5%+29.7万円)95万7,000円
費用の合計95万7,000円
弁護士が入って増えた額250万0,000円

手元に残る差額 +154万3,000円 → 依頼する意味が大きい事案です

示談交渉で解決する場合、目安は「増える見込みが44万円」です。

回収額が約167万円までは報酬金が44万円で固定されるため、提示額がいくらであっても、増額が44万円を超えなければ手元は減ります。ケースBもケースCも、増額そのものは出ているのに費用倒れになるのはこのためです。

ケースCでは、仮に判決まで進んでも相手から回収できる弁護士費用は15万円の約1割、1万5,000円にとどまります。費用の44万円には遠く及びません。
ただし、弁護士費用特約に加入していれば、この計算はまったく不要になります。費用を保険会社が負担するため、増額分がそのまま手元に残ります。少額の物損こそ、特約の有無を最初に確認してください。

弁護士費用特約を使う場合、計算の仕方が変わります

自動車保険に弁護士費用特約が付いていれば、弁護士費用は保険会社が負担します。多くの商品で上限は300万円です。ただし「入っていれば自己負担ゼロ」と単純に言い切れない部分があります。

保険会社の同意が必要です

多くの特約の約款には、保険会社の同意を得て支出した弁護士費用を保険金の対象とする、という規定があります。裏を返せば、保険会社が同意しない部分は依頼者の自己負担になり得ます。

東京高判平成27年2月5日

弁護士が委任契約書をファクシミリで送っただけで、保険会社の担当者から同意を取り付けないまま示談交渉を進めた事案です。示談成立後、依頼者が得た経済的利益の約85%に相当する弁護士費用が発生しました。裁判所は「同意を得て支出した」に当たらないとして、保険金の請求を認めませんでした。

ですから、受任する前に、報酬の水準について保険会社と話をつけておくことが実務上とても重要になります。当事務所でも、特約を使う場合は事前に確認してから委任契約を結んでいます。

自賠責から出る分の扱いが変わります

特約を使う場合の弁護士費用は、保険会社との間で作られた支払基準にもとづいて計算されます。ここで、事務所の基準といちばん大きく違うのが自賠責の扱いです。

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自賠責への請求計算の基礎になる金額自賠責の部分
事案が簡明な場合
(定型の書式を揃えるだけで所定の保険金が受け取れる場合)
損害額から自賠責の部分を差し引いた額着手金・報酬金とは別に手数料として扱う
事案が簡明でない場合損害額の全体経済的利益に含められる

この違いは、実際の金額としてはっきり出ます。

後遺障害等級の異議申立てが認められて賠償額が増えた場合は、その増えた自賠責の部分も計算の基礎に含められます。弁護士が動いて等級が変わったのだから、その分は成果として評価される、という考え方です。

逆に、依頼する前に自分で自賠責に請求して受け取っていた分は、弁護士の関与と関係がないため、計算の基礎に入りません。手数料も発生しません。「弁護士が動いて動いた分だけ」を対象とする仕組みになっています。

判決で弁護士費用を回収したら、特約と二重には受け取れません

東京高判平成25年12月25日

判決で認められた弁護士費用相当額と、依頼者と弁護士の間で合意した報酬とは、どちらも紛争の解決を弁護士に頼んだときの費用という点で同じ性質のものである。したがって、判決で弁護士費用を回収したうえに、さらに特約の保険金を受け取ることはできない、としました。

近年の約款には、すでに相手方から弁護士費用を回収している場合にその分を差し引く規定や、保険金を払ったあとで相手方から回収があった場合に保険会社が返還を求められる規定が設けられています。

なお、特約を使ったからといって「被害者に損害が発生していない」ことにはなりません。特約の保険金は被害者自身が払った保険料の対価だからです(東京地判平成24年1月27日)。

特約そのものの仕組みは、こちらで詳しく説明しています

知っておくと差がつく4つのこと

弁護士費用にも遅延損害金が付きます

弁護士費用相当額の賠償債務は、事故の時から履行遅滞になります(最判昭和58年9月6日)。判決が出た時からではありません。事故から判決までに年数がかかっていれば、その分の遅延損害金が上乗せされます。

時効の起算点は「委任契約を結んだ時」です

名古屋地判平成26年5月21日

被害者がけがをした事実を知っただけでは、弁護士費用は「通常予想し得る損害」とはいえない。実際に弁護士に訴訟を委任し、成功報酬を支払う内容の契約を結んだ時が、弁護士費用相当損害金の消滅時効の起算点である、としました。

他の損害の時効が進んでいても、弁護士費用の部分だけは別に数えるということです。時効が争点になる事案では効いてきます。

保険会社が求償するときは、当然には請求できません

被害者に保険金を払った保険会社が、その分を加害者に求償することがあります(保険法25条1項)。このとき保険会社が使った弁護士費用は、当然には相手方に請求できません(名古屋高判平成29年10月13日)。被害者本人が請求する場合とは扱いが違います。

交渉でも訴訟でも、着手金はいただきません

当事務所では、示談交渉も訴訟も着手金は無料です。交渉から始めて、まとまらなければ訴訟に切り替える。この判断を、着手金の負担を気にせずにしていただけます。

訴訟に進むと報酬金の計算方法が変わり、請求額を基準とする部分と回収額を基準とする部分の合計になります。ただし判決まで進めば、認容額の約1割が弁護士費用として相手方の負担になります。この上乗せがあるかどうかも含めて、判決まで進むべきか和解で折り合うべきかをご説明します。

よくある質問

交通事故の弁護士費用は誰が払いますか?

依頼した本人が払います。ただし裁判で判決を得た場合には、認容額の約1割が弁護士費用として加害者側の負担になります。弁護士費用特約に加入していれば、保険会社が上限額まで負担します。

弁護士に払った着手金と報酬金を、全額相手に請求できますか?

できません。相手に請求できるのは、裁判所が事故と相当な因果関係のある損害と認めた範囲に限られます。実務上は、過失相殺と損益相殺をしたあとに残った認容額の約1割です。

示談で解決した場合も、相手に弁護士費用を請求できますか?

原則としてできません。示談や和解で終わる場合は、早期解決の趣旨から弁護士費用も遅延損害金も付けないのが実務上の扱いです。わずかな差で和解がまとまらないときに調整金として上積みされることはありますが、特段の事情がある場合に限られます。

費用倒れになるのは、いくらくらいからですか?

示談交渉で解決する場合、弁護士が入って増える見込みが44万円を下回ると費用倒れになります。当事務所の交通事故は着手金が無料なので、判断材料は報酬金だけです。回収額が約167万円までは報酬金が最低額の44万円で固定されるため、増額がこれを超えなければ手元は減ります。ただし弁護士費用特約があれば、この心配はありません。

弁護士費用にも過失割合はかけられますか?

かけられません。弁護士費用は、すでに過失相殺をしたあとの認容額をもとに算定されているため、そこからさらに過失相殺をすることはないと最高裁が判断しています。二重に差し引かれることはありません。

弁護士費用特約を使えば、自己負担はゼロになりますか?

多くの場合はゼロになりますが、常にそうとは限りません。約款では保険会社の同意を得て支出した費用が対象とされており、同意されなかった部分は自己負担になり得ます。受任前に報酬の水準を保険会社と確認しておくことが重要です。

自分で訴訟をした場合、着手金相当額を相手に請求できますか?

できません。弁護士費用が損害として認められるのは、実際に弁護士に訴訟追行を委任し、かつ勝訴した場合に限られます。本人訴訟をした被害者が着手金相当額を請求した事案でも、認められていません。

弁護士費用の時効は、いつから数えますか?

実際に弁護士と委任契約を結んだ時から数えます。けがをした事実を知っただけでは、弁護士費用は通常予想し得る損害とはいえないとされているためです。他の損害とは起算点が異なります。

費用倒れになるかどうか、依頼前にお答えします

いくら増える見込みがあるのか、費用はいくらか、特約は使えるのか。この3つがわかれば、依頼すべきかどうかは判断できます。初回30分のご相談は無料です。

相談を申し込む

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監修|難波みなみ法律事務所 代表弁護士 南 宜孝(大阪弁護士会所属)

本記事に記載した当事務所の弁護士費用は、いずれも消費税込みの金額です。事案の難易度や争点の複雑さによって変動する場合があり、初回のご相談時にお見積りをお示しします。実際のご依頼にあたっては、委任契約を結ぶ前に費用の内訳と見込額を書面でご説明します。相手方に請求できる弁護士費用の額は事案により異なり、記事に記載した割合や裁判例が同じように当てはまることを保証するものではありません。

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