交差点を直進していたら、対向から右折してきた車にぶつけられた――この「右直事故(右折車と直進車の事故)」は、交差点事故のなかでも件数が多く、過失割合をめぐって相手の保険会社ともめやすい類型です。この記事では、右直事故で直進車と右折車のどちらの過失が重くなるのか、信号の状態による基本的な目安と、割合を動かす修正要素を、大阪・なんばで交通事故の被害者側を扱う弁護士が整理します。過失割合の考え方の全体像は交通事故の過失割合は誰が決める?決まり方と4類型もあわせてご覧ください。
Q. 右直事故では、直進車と右折車のどちらの過失が重くなりますか。
原則として右折車の過失が重くなります。道路交通法は、交差点で右折する車に対し、直進しようとする車の進行を妨げてはならないと定めており(直進車が優先)、右折車にはより重い注意が求められるためです。信号機のない交差点では、一般的な目安として直進車2:右折車8程度とされますが、信号の状態・速度・右折の仕方によって変わります。
Q. 青信号で直進していてぶつけられました。私の過失はゼロですか。
ゼロになるとは限りません。直進車にも前方をよく見て進む義務があるため、双方が青信号の右直事故では、一般的な目安として直進車2:右折車8程度とされます。相手の信号無視など事情があればゼロに近づくこともありますが、態様ごとに個別に判断されます。
Q. 提示された過失割合に納得できないときはどうすればよいですか。
保険会社が示す割合は交渉の出発点にすぎません。ドライブレコーダーの映像、信号の表示サイクル、現場の状況から修正要素を主張すれば、割合が見直されることがあります。弁護士が証拠を整理して交渉することで、適正な割合に近づけられる場合があります。
右直事故とは|なぜ右折車の過失が重くなるのか
右直事故とは、交差点で右折しようとする車と、対向車線を直進してくる車とが衝突する事故をいいます。交通量の多い交差点で起きやすく、直進車のドライバーが「まさか曲がってこないだろう」と考えていたところに右折車が進入して衝突する、という形が典型です。
過失割合で右折車の負担が重くなる背景には、交差点での優先関係のルールがあります。道路交通法は、交差点で右折する車両に対し、その交差点で直進し、または左折しようとする車両の進行を妨げてはならないと定めています(道路交通法37条)。つまり、直進車の進行が優先され、右折車は直進車を先に通す義務を負います。右折車は、対向の直進車の距離や速度を確かめ、直進車が来る前に右折を終えられると判断できない場合は、直進車が通り過ぎるまで待たなければなりません。信号が青でも、この確認の義務はなくなりません。このため、右直事故では右折車により重い注意義務違反が認められやすく、過失割合も右折車側が重くなるのが原則です。
もっとも、直進車がまったく責任を問われないわけではありません。損害賠償の場面では、被害者側にも不注意があれば、その分を考慮して賠償額を調整する「過失相殺」という仕組みがあります(民法722条2項)。直進車にも、交差点では対向から右折してくる車に特に注意し、できる限り安全な速度と方法で進む義務があり(道路交通法36条4項)、前方や対向車の動きを確認する義務があるため、一定の過失が割り当てられるのが通常です。また、直進車が制限速度を大きく超えていた場合などは、直進車の過失がさらに重くみられることがあります。
信号機のある交差点の基本過失割合(四輪同士)
信号のある交差点では、直進車と右折車それぞれが「どの色で交差点に入り、どの色で衝突したか」によって、基本的な過失割合の目安が変わります。四輪自動車同士の場合の一般的な目安は次のとおりです。
※表は横にスクロールできます。
| 信号の状況(直進車/右折車) | 直進車 | 右折車 |
|---|---|---|
| 双方とも青で進入 | 20 | 80 |
| 直進車が黄で進入/右折車が青で進入し黄で右折 | 70 | 30 |
| 双方とも黄で進入 | 40 | 60 |
| 直進車が赤で進入/右折車が青矢印で右折 | 100 | 0 |
| 直進車が赤で進入/右折車が青で進入し赤で右折 | 90 | 10 |
| 直進車が赤で進入/右折車が黄で進入し赤で右折 | 70 | 30 |
| 双方とも赤で進入 | 50 | 50 |
これらはあくまで一般的な目安です。実際の割合は、交差点の形状、対向車の見通し、速度、右折の態様などによって変わります。数値だけで判断せず、具体的な事故の状況に即して検討する必要があります。
信号機のない交差点の基本過失割合
信号機のない交差点で、直進車と対向右折車が衝突した場合の一般的な目安は、直進車2:右折車8程度とされます。ここでも直進車が優先されるという基本的な考え方は変わりません。
バイク・自転車が絡む右直事故
直進していたのがバイク(二輪車)や自転車の場合、同じ右直事故でも、四輪同士のときより直進側の過失が軽くみられる傾向があります。二輪車や自転車は車体が小さく、事故のときに大きなけがにつながりやすい「交通弱者」として扱われるためです。
たとえば、信号のある交差点で双方が青信号のとき、直進バイクと右折四輪の事故では、一般的な目安として直進バイク15:右折四輪85程度とされることがあります。自転車が直進していた場合は、さらに自転車側の割合が軽くみられることがあります。自転車が関係する事故の考え方は車と自転車の事故の過失割合でも説明しています。
過失割合を動かす主な修正要素
基本の割合は、個別の事情によって上下に修正されます。右直事故でよく問題になる修正要素と、割合が動く向きの一般的な目安は次のとおりです。表は、四輪車同士で双方が青信号で進入した場合の目安です。信号の状況によって幅が小さくなったり、考慮されなかったりする要素もあります。
※表は横にスクロールできます。
| 修正要素 | 過失が重くなる側 | 動きの目安 |
|---|---|---|
| 右折車が徐行していなかった | 右折車 | 右折車に10程度加算 |
| 直進車の至近距離で右折した(直近右折) | 右折車 | 右折車に10程度加算 |
| 早回りの右折(交差点の中心の手前で内側を曲がる) | 右折車 | 右折車に5程度加算 |
| 大回りの右折(あらかじめ道路の中央に寄らずに曲がる) | 右折車 | 右折車に5程度加算 |
| 右折の合図(ウインカー)を出していなかった | 右折車 | 右折車に10程度加算 |
| 右折車の著しい過失・重過失(わき見・酒酔いなど) | 右折車 | 右折車に10程度加算 |
| 右折車がすでに右折をほぼ終えていた(既右折) | 直進車 | 直進車に10程度加算(信号のない交差点では20程度) |
| 先が詰まっていて交差点内で止まるおそれがあるのに直進車が進入した | 直進車 | 直進車に10程度加算 |
| 直進車の速度超過(時速15km以上30km未満) | 直進車 | 直進車に10程度加算 |
| 直進車の速度超過(時速30km以上) | 直進車 | 直進車に20程度加算 |
| 直進車の著しい過失(わき見・スマホ操作・酒気帯びなど) | 直進車 | 直進車に10程度加算 |
| 直進車の重過失(酒酔い・居眠り・無免許など) | 直進車 | 直進車に20程度加算 |
修正要素は複数が重なることもあり、どれがどの程度認められるかで最終的な割合は大きく変わります。だからこそ、現場の状況を示す証拠をどれだけ残せているかが重要になります。
保険会社の提示に納得できないとき|弁護士の役割
右直事故では、相手の保険会社が「直進車にもこれだけの過失がある」と主張し、被害者に不利な割合を提示してくることがあります。提示された割合は、あくまで相手側の見立てであって、確定したものではありません。
過失割合を適正にするうえで役立つのが、客観的な証拠です。ドライブレコーダーの映像、信号の表示サイクル、警察が作成する実況見分調書、ブレーキ痕や車の損傷状況などから、相手の右折の態様や自分の走行状況を具体的に示すことで、修正要素を主張できます。弁護士は、これらの証拠を整理し、どの修正要素が主張できるかを検討したうえで、相手方と交渉します。ただし、ドライブレコーダーの映像はカメラの位置やレンズのゆがみで実際の見え方と違うことがあり、実況見分調書も一方の当事者の説明だけで作られている場合があります。また、物損事故として扱われた場合は、警察の記録が簡単な報告書だけで、事故状況の図がないこともあります。弁護士は、こうした資料の限界も踏まえて、ほかの証拠と食い違いがないかを確かめます。過失割合が1割違うだけで、後遺障害が残った事故などでは受け取れる金額が大きく変わるため、提示された損害額とあわせて確認することが大切です。保険会社との交渉の進め方は交通事故の保険会社との交渉|担当者は誰の代理人かもご覧ください。
右直事故の過失割合に関するよくある質問
右直事故とは何ですか。
交差点で右折しようとする車と、対向車線を直進してくる車とが衝突する事故のことです。交通量の多い交差点で起きやすい、交差点事故の代表的な類型です。
右直事故は直進車と右折車のどちらの過失が重いですか。
原則として右折車の過失が重くなります。道路交通法が、交差点で右折する車に対し直進車の進行を妨げてはならないと定めており、直進車が優先されるためです。
青信号で直進中にぶつけられた場合、私の過失はゼロですか。
ゼロになるとは限りません。直進車にも前方を確認して進む義務があるため、双方が青信号の右直事故では、一般的な目安として直進車2:右折車8程度とされます。
信号のない交差点での右直事故の基本的な過失割合は。
一般的な目安は直進車2:右折車8程度です。信号がなくても直進車が優先されるという考え方は変わりません。ただし速度や右折の態様によって修正されます。
バイクや自転車で直進中に右折車とぶつかった場合はどうなりますか。
二輪車や自転車は交通弱者として扱われるため、四輪同士のときより直進側の過失が軽くみられる傾向があります。たとえば双方青信号で直進バイク15:右折四輪85程度が目安とされることがあります。
過失割合はどの資料をもとに決まるのですか。
過去の裁判例を事故の型ごとに整理した基準が物差しとして使われ、個別の事情で修正して決められます。保険会社の提示も、この考え方を基礎にしています。最終的には具体的な事故の状況に即して判断されます。
ドライブレコーダーの映像は過失割合に影響しますか。
大きく影響します。相手の右折の仕方や自分の走行状況、信号の表示を客観的に示せるため、修正要素の主張に役立ちます。映像は上書きされる前に早めに保存することが大切です。
保険会社が示した過失割合に納得できないときはどうすればよいですか。
提示された割合は交渉の出発点にすぎません。ドライブレコーダーや実況見分調書などの証拠から修正要素を主張すれば見直されることがあります。弁護士に相談し、証拠を整理して交渉することをおすすめします。
右直事故の過失割合でお困りの方へ
相手の保険会社から不利な過失割合を提示された、提示内容に納得できない、ぶつけられてけがをした――そのようなときはご相談ください。難波みなみ法律事務所は大阪・なんばの事務所で、交通事故の被害者側を数多く扱ってきました。元裁判官の弁護士が在籍し、損害や過失割合の見立てもお伝えできます。初回相談30分無料、着手金無料で対応します。弁護士費用特約があれば、費用は保険でまかなえることが多いです。
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監修:難波みなみ法律事務所/代表弁護士 南 宜孝(大阪弁護士会・登録番号49544)。大阪市中央区西心斎橋2-4-2 難波日興ビル403。初回相談30分無料(電話 06-6786-8103/受付9:00〜22:00)。






