信号待ちや渋滞で停まっているときに後ろから追突された——このタイプの事故は、過失割合が原則として10対0(被害者に過失なし)になります。ただし、いつでも必ず10対0になるわけではなく、先行車の側の事情で例外的に過失がつくこともあります。また、10対0だからこそ生じる「自分の保険会社が交渉を代行できない」という落とし穴もあります。この記事では、追突事故の過失割合の原則と例外、被害者が知っておきたい注意点を、被害者側の視点で解説します。過失割合の一般的な決まり方は関連記事で解説しています。
Q. 追突された場合、過失割合は10対0ですか?
A. 原則そのとおりです。停止中や通常走行中に追突された被害者は、通常は無過失(0)と扱われます。追突した側の前方不注視・車間距離不保持が原因だからです。
Q. 10対0でも保険会社が対応してくれますか?
A. 注意が必要です。被害者に過失が0だと、被害者自身の任意保険会社は示談交渉を代行できません。自分で交渉するか、弁護士費用特約で弁護士に依頼することになります。
Q. 例外的に過失がつくのはどんなときですか?
A. 先行車が理由もなく急ブレーキをかけた、故障停車で表示など必要な措置を怠った、といった場合には、被害者側にも一定の過失がつくことがあります。
追突事故の過失割合は原則10対0
追突事故は、後ろの車(後方車)の前方不注視や車間距離不保持が原因で起こります。前を走る車・停まっている車(先行車)には落ち度がないのが通常なので、過失割合は後方車10:先行車0が原則です。とくに次のようなケースは、被害者(先行車)が無過失とされる典型です。
- 赤信号や一時停止で停止中に追突された
- 渋滞で停止・低速のときに追突された
- 危険を避けるための必要な急ブレーキの後に追突された
後続車には、前車が急に停まっても安全に止まれる車間距離を保つ義務があります(道路交通法26条)。そのため、多少前車がブレーキをかけても、原則は後方車の責任と評価されます。
例外|先行車(被害者)にも過失がつくケース
もっとも、先行車の側に問題のある運転があった場合には、被害者にも一定の過失が付くことがあります。代表的なのは次のような場合です。
| ケース | ポイント |
|---|---|
| 理由のない不必要な急ブレーキ | 危険回避のためでない急ブレーキは道路交通法24条が禁止。追突の一因になれば先行車にも過失がつきうる |
| 正当な理由のない急な進路変更・急停止 | 後続車が予測できない動きをした場合 |
| 駐停車禁止場所での駐停車 | 停め方や場所に問題があった場合 |
| 夜間の無灯火・故障停車での措置不備 | 故障で停車したのに停止表示器材の設置やハザードなど必要な措置を怠った場合 |
ただし、これらの例外にあたるとして過失を主張・立証するのは、減額を求める加害者側の役割です。「急ブレーキだったから」と言われても、事故態様やドライブレコーダーで反論できる場面は多く、鵜呑みにする必要はありません。具体的な修正の程度は事故態様で変わります。過失割合の決まり方の全体像は、関連記事をご覧ください。
玉突き(多重)追突の過失割合
後ろから追突され、その勢いで前の車にぶつかってしまう「玉突き事故」もあります。この場合、一番後ろから追突した車が原則として責任を負い、押し出された真ん中の車(あなた)は、前の車に対して過失なしとされるのが原則です。自分の意思と関係なく前に押し出されただけだからです。ただし、もともと前の車との車間距離が不十分だったなどの事情があると、評価が変わることもあります。誰にどれだけ請求できるかは事故態様で決まるため、複数当事者がいる玉突きこそ、早めに弁護士に整理を依頼するのが安全です。
10対0だからこその落とし穴|保険会社は代理交渉できない
意外に知られていませんが、被害者の過失が0(10対0)の場合、被害者自身が加入する任意保険会社は、相手方との示談交渉を代行できません。保険会社が契約者に代わって交渉できるのは、その保険会社に賠償の支払い(=契約者側の責任)がある場合に限られるためです。被害者が無過失だと自社の支払いがなく、代理交渉は弁護士法(非弁行為の禁止)との関係で認められません。
その結果、被害者は自分で相手方の保険会社と交渉するか、弁護士に依頼することになります。ここで役立つのが弁護士費用特約です。自己負担なく弁護士に交渉を任せられる場合が多く、10対0の追突事故こそ活用価値があります。ご自身や家族の保険に付いていないか確認してみてください。
追突事故で多い「むちうち」に注意
追突事故は、たとえ低速でもむちうち(頸椎捻挫)を起こしやすいのが特徴です。事故直後は痛みが軽くても、後から強くなることがあります。次の点に注意してください。
- 痛みがあれば必ず人身事故として届け出る(物損のままにしない)。
- 早めに受診し、通院を継続する。通院が途切れると治療の必要性を争われます。
- 症状が残れば後遺障害(14級・12級)の認定を検討する。
むちうちの慰謝料や通院の続け方、後遺障害の認定は、それぞれ関連記事で詳しく解説しています。
追突事故で請求できる損害
追突事故では、ケガ(人身)と車(物損)の両方の損害を請求できます。10対0なら、これらを過失で減らされることなく全額請求できます。
| 区分 | 主な費目 |
|---|---|
| 人身の損害 | 治療費・通院交通費、入通院慰謝料、休業損害、後遺障害が残れば後遺障害慰謝料・逸失利益 |
| 物損の損害 | 修理費または時価(買替)、評価損(格落ち)、代車費用、レッカー代など |
慰謝料は弁護士基準(裁判基準)で計算すると増えるのが一般的です。金額の相場・計算方法や、物損で請求できる費目の詳細は、関連記事で解説しています。
追突された後の進め方
- 警察に連絡し、人身事故として届け出る。実況見分調書が過失割合の証拠になります。
- ドライブレコーダー・相手情報・現場写真を確保する。例外の主張に反論する材料になります。
- すぐ受診し通院を続ける。むちうちは軽視しない。
- 10対0なら、交渉は自分で行うか弁護士へ。弁護士費用特約の有無を確認する。
弁護士に相談するメリット
追突事故は「原則10対0で被害者有利」な一方、「保険会社が代理交渉できず被害者が矢面に立つ」「むちうちで後遺障害が問題になる」という特徴があります。弁護士が入れば、相手方の不当な過失主張への反論、むちうちの通院・後遺障害の組み立て、弁護士基準での増額交渉までを任せられます。弁護士費用特約を使えば自己負担なく依頼できる場合もあります。
よくある質問
停止中に追突されました。過失割合は10対0ですか?
原則10対0です。信号待ちや渋滞での停止中の追突は、後方車の前方不注視・車間距離不保持が原因で、被害者(先行車)は無過失とされるのが通常です。ただし先行車側に問題のある事情があれば例外的に過失がつくことがあります。
「急ブレーキをかけたから被害者にも過失がある」と言われました。
危険回避のための必要な急ブレーキであれば、原則は後方車の責任です。理由のない不必要な急ブレーキだと先行車に過失がつくこともありますが、それを主張・立証するのは加害者側です。ドライブレコーダー等で反論できる場合が多いので鵜呑みにしないでください。
10対0なのに、自分の保険会社が交渉できないと言われました。
被害者の過失が0だと、被害者側の保険会社は示談交渉を代行できません(保険会社の支払いがなく、弁護士法との関係で代理交渉が認められないため)。自分で交渉するか、弁護士費用特約で弁護士に依頼するのが有効です。
弁護士費用特約は追突事故で使えますか?
使えることが多いです。10対0で自分の保険会社が交渉を代行できない追突事故こそ、弁護士費用特約を使って弁護士に依頼する価値があります。ご自身や家族の保険を確認してください。
物損だけで済ませても大丈夫ですか?
痛みがあるなら人身事故として届け出てください。追突は低速でもむちうちを起こしやすく、物損のままだと治療費や慰謝料、後遺障害の請求で不利になります。早めの受診と通院の継続が大切です。
追突事故の慰謝料はどのくらいですか?
入通院の期間・実通院日数やケガの内容で変わり、弁護士基準(裁判基準)で計算すると高くなるのが一般的です。むちうちの相場や具体的な計算方法は関連記事で解説しています。
過失割合に納得できません。
相手方の保険会社は自社に有利な割合を提示しがちです。ドライブレコーダーや実況見分調書で事実を固めれば修正できる場合が多いので、鵜呑みにせず弁護士にご相談ください。
10対0の追突事故は、被害者ご自身が交渉の矢面に立たされがちです。難波みなみ法律事務所は交通事故(被害者側)を着手金無料でお受けし、元裁判官の弁護士が過失割合の反論から慰謝料の増額まで対応します。弁護士費用特約が使える場合は自己負担なく依頼できます。初回相談30分無料、電話・メール・LINEで対応します。
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監修:難波みなみ法律事務所 代表弁護士 南 宜孝(大阪弁護士会)。大阪市中央区西心斎橋2-4-3 難波御堂筋ビル403/電話 06-6786-8103(受付9:00〜22:00)。初回相談30分無料。






