ネット上の誹謗中傷は、権利侵害が認められれば削除できます。削除の方法は、①サイト運営者への削除依頼、②送信防止措置依頼(テレサ書式)、③裁判所への削除仮処分の3段階です。ただし、投稿を削除すると投稿者を特定するための通信ログも消えてしまうことがあるため、「削除」と「投稿者の特定(開示請求)」のどちらを優先するかを最初に決めることが重要です。この記事では、ネット誹謗中傷を削除する3つの方法と手順、削除が認められるケース、弁護士費用の目安、削除前に知っておくべき注意点を、大阪・難波の弁護士がわかりやすく解説します。
- ネットの誹謗中傷は削除できますか?
- 削除できます。名誉毀損やプライバシー権侵害など、投稿があなたの権利を侵害していると認められる場合、サイト運営者への削除依頼や裁判所への削除仮処分によって削除が可能です。
- どうやって削除するのですか?
- 3つの方法があります。①サイトの削除依頼フォームから運営者へ削除を求める、②応じない場合は送信防止措置依頼(テレサ書式)を送る、③それでも削除されない場合は裁判所へ削除仮処分を申し立てる、という順で進めます。
- 費用はどのくらいかかりますか?
- 弁護士費用は、任意の削除依頼で数万円〜、削除仮処分まで進める場合は着手金20万〜35万円程度が目安です。投稿者の特定(開示請求)まで行うかどうかで変わります。まずは無料相談で見通しと費用をご説明します。
1ネットの誹謗中傷は削除できる
ネット上に書き込まれた誹謗中傷は、その投稿があなたの権利を侵害していると認められる場合、法的に削除できます。削除の根拠となるのは、名誉毀損・プライバシー権侵害・肖像権侵害・名誉感情の侵害といった権利侵害です。掲示板・SNS・口コミサイトなど、投稿先を問わず、権利侵害が明らかな投稿は削除の対象になります。
サイト運営者は、権利を侵害された人からの申し出に応じて投稿を削除できる仕組み(情報流通プラットフォーム対処法〔情プラ法。旧プロバイダ責任制限法〕に基づく送信防止措置)が整えられています。運営者が任意に応じない場合でも、裁判所の手続き(削除仮処分)によって削除を実現できます。
2誹謗中傷を削除する3つの方法
ネット誹謗中傷の削除は、負担の軽い方法から順に、次の3段階で進めるのが基本です。
- サイト運営者へ直接削除依頼する多くのサイト・SNSには削除依頼フォームや問い合わせ窓口があります。まずは各サイトの利用規約・ガイドラインに沿って削除を求めます。費用をかけず最も早く解決できる可能性がある一方、運営者の判断で削除されないこともあります。
- 送信防止措置依頼(テレサ書式)を送る運営者が応じない場合、情プラ法(旧プロバイダ責任制限法)に基づく「送信防止措置依頼書」(テレコムサービス協会のガイドラインに沿った書式=テレサ書式)を、本人確認書類を添えて運営者へ送付します。第三者機関のガイドラインに沿った正式な削除請求で、任意対応を促す効果があります。
- 裁判所へ削除仮処分を申し立てるそれでも削除されない場合は、裁判所に削除の仮処分を申し立てます。これは名誉権・プライバシー権などの人格権に基づく差止請求で、権利侵害と削除の必要性を疎明し、裁判所が認めれば、法的強制力をもって削除を実現できます。急いで削除したい場合に有効な手続きです。
3削除が認められるのはどんなケースか
削除が認められるのは、投稿が具体的な権利侵害にあたる場合です。単に「気分が悪い」「不快だ」というだけでは足りず、次のような権利侵害の有無で判断されます。
| 権利侵害の類型 | 典型例 |
|---|---|
| 名誉毀損 | 社会的評価を下げる具体的事実の摘示(「○○は不倫している」「前科がある」等)。真実性・公益性が認められない場合。 |
| 名誉感情の侵害 | 「バカ」「ブス」など、社会通念上許される限度を超える侮辱的表現。 |
| プライバシー侵害 | 本名・住所・勤務先・家族・病歴など、公開されていない私生活上の情報の暴露。 |
| 肖像権侵害 | 無断で撮影・掲載された顔写真など。 |
4削除の前に知っておくべき注意点
削除を急ぐあまり、かえって不利になることがあります。次の点に注意してください。
- 削除すると投稿者を特定できなくなることがある投稿を削除すると、投稿時の通信ログ(IPアドレス等)も消えてしまうことがあります。投稿者を特定して損害賠償まで求めたい場合は、削除より先に開示請求(特定)を検討する必要があります。
- 証拠を保全せずに削除しない削除の前に、投稿のURL・スクリーンショット・投稿日時を必ず保存します。証拠がないと、後から特定や損害賠償を進められなくなります。
- 自分で運営者と交渉してこじれる感情的なやり取りや不適切な主張で、かえって削除が難しくなることがあります。権利侵害の主張は、要件に沿って的確に行う必要があります。
- 拡散・魚拓に注意する一つの投稿を削除しても、コピー・転載・まとめサイトへの拡散が残ることがあります。拡散状況の確認と、必要に応じた追加対応が重要です。
5サイト・SNS別の削除方法
削除の手続きは共通していますが、サイトごとに運営の所在・窓口・任意対応の可否が異なります。代表的なサイト・SNSの対応状況の概要は次のとおりです(詳細は各解説記事をご覧ください)。
| サイト・SNS | 運営の傾向 | 削除依頼の窓口 | 投稿者の開示(特定) |
|---|---|---|---|
| 5ちゃんねる(5ch) | 海外法人 | メールによる削除請求(指定アドレスへ必要書類・法的な削除理由を送付)。応じない場合は削除仮処分 | 任意には応じず裁判手続。無審尋上申のうえ、指定のあて先へ決定正本を送付して開示を求める運用 |
| 爆サイ.com | 国内法人 | 設置されたウェブフォームから削除依頼が可能。応じない場合は送信防止措置依頼・削除仮処分 | 裁判外の開示請求(テレサ書式)に応じる。ただし近年は厳格化。開示にはレスごとの手数料がかかる運用 |
| ホスラブ(ホストラブ) | 国内法人 | 削除依頼フォーム(依頼内容が公開される) | 任意には応じず、仮処分・開示命令が必要。IPを保有し、早期の仮処分が有効 |
| 雑談たぬき(2ch2.net) | 掲示板管理人は個人(住所非公開) | 問い合わせフォーム(削除・IP開示請求用)・スレ内の通報窓口 | 削除仮処分・IPアドレス開示仮処分に応じてもらえる(送達を遅らせる上申を併用)。アクセスログは過去40日分と短い |
| したらば掲示板 | 国内(株式会社フェイズ) | まず問い合わせフォームから掲示板管理者へ削除依頼。管理者が削除しない場合は送信防止措置依頼フォームから削除請求。なお応じなければ削除仮処分 | ウェブフォーム・テレサ書式による任意開示も可能だが応じないことが多く、実務では開示仮処分による |
| X(旧Twitter) | 海外法人 | ウェブフォームでの削除依頼に対応するが基準は厳格。応じない場合は削除仮処分によることが多い | 原則、裁判手続。ログイン型で、IP・タイムスタンプ等を開示命令で取得 |
| 海外法人(Meta) | ウェブフォームでの報告に対応するが基準は厳格。応じない場合は削除仮処分 | 原則、裁判手続 | |
| 海外法人(Meta) | ウェブフォームでの報告に対応するが基準は厳格。応じない場合は削除仮処分が一般的 | 原則、裁判手続 | |
| YouTube | 海外法人(Google) | ウェブフォームでの報告に対応するが基準は厳格。応じない場合は削除仮処分 | 原則、裁判手続 |
| Google(口コミ・マップ) | 海外法人(Google) | ウェブフォームから削除依頼は可能だが、著作権侵害以外は対応しないことが多く、実務では削除仮処分により削除を求める | 任意開示には応じず、仮処分で開示を求める。Googleは発信者情報開示命令にも応じるため、開示命令を用いることもある |
| 転職会議 | 国内法人 | テレサ書式による削除請求を受け付ける(ただし部分削除にとどまることもある)。応じない場合は削除仮処分 | 原則、裁判手続 |
| e戸建て/マンションコミュニティ | 国内(ミクル株式会社) | ウェブフォーム・テレサ書式を通じて削除依頼するが、応じない場合は削除仮処分を用いる | テレサ書式による開示請求を行うが、応じない場合は開示仮処分による。提供命令に対応する可能性もあり、発信者情報開示命令の申立ても選択肢の一つ |
主なサイト・SNSの削除・特定の方法は、それぞれの解説記事で詳しく紹介しています。
6弁護士費用の目安
ネット誹謗中傷の削除を弁護士に依頼した場合の費用は、方法によって異なります。任意の削除依頼は比較的低額で、削除仮処分まで進める場合は着手金が高くなります。
7投稿者の特定(開示請求)も検討したい場合
「削除するだけでなく、書き込んだ相手を特定して損害賠償を求めたい」という場合は、削除より先に発信者情報開示請求(特定)を検討します。前述のとおり、削除を先に行うと特定のための通信ログが消えてしまうことがあるためです。特定の手続きの流れ・費用・期間は、開示請求の解説記事で詳しく紹介しています。
難波みなみ法律事務所(大阪・難波/心斎橋)では、ネット誹謗中傷の削除・投稿者特定・損害賠償を一括してサポートします。証拠が消える前に、まずはご相談ください。
8よくあるご質問
ネットの誹謗中傷の削除にはいくらかかりますか?
方法によって異なります。任意の削除依頼は数万円〜、裁判所の削除仮処分まで進める場合は着手金20万〜35万円程度が目安です。投稿者の特定まで行うかどうかで変わります。無料相談で具体的にご説明します。
誹謗中傷はどんな場合に削除できますか?
権利侵害が認められる場合に削除できます。名誉毀損・名誉感情の侵害・プライバシー権侵害・肖像権侵害などにあたる投稿が対象です。単に不快というだけでは削除は難しく、投稿の具体的な内容で判断されます。
自分で削除依頼できますか?
できます。多くのサイトには削除依頼フォームがあり、本人でも申請可能です。ただし権利侵害の主張が不十分だと削除されないことも多く、応じない場合は送信防止措置依頼や削除仮処分といった専門的な手続きが必要になります。
削除にはどのくらい時間がかかりますか?
方法によって異なります。フォームやメールでの削除依頼は1日〜1週間、送信防止措置依頼書(意見照会あり)は3〜4週間、削除仮処分は国内のサイトで2〜4週間、海外のサイトでは2〜3か月程度が目安です。急ぎの場合は、初動から弁護士に依頼するのが確実です。
削除すると相手を特定できなくなりますか?
その可能性があります。投稿を削除すると通信ログも消えることがあり、投稿者の特定ができなくなる場合があります。特定と削除の両方を望むなら、削除より先に開示請求を検討してください。
まとめサイトや転載も削除できますか?
できます。元の投稿だけでなく、転載・まとめサイト・キャッシュ等も、権利侵害が認められれば削除の対象になります。拡散状況を確認し、必要な範囲で対応します。
削除だけでなく損害賠償もできますか?
できます。投稿者を特定できれば、削除に加えて慰謝料などの損害賠償を請求できます。ただし特定には別途手続きが必要で、削除より先に進める必要があります。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案への法的判断を示すものではありません。削除の可否・費用・見込みは事案により異なります。当事務所は民事(削除・開示・損害賠償)を取り扱い、刑事事件は取り扱っておりません。具体的な対応は難波みなみ法律事務所(代表弁護士 南宜孝/大阪弁護士会)までご相談ください。掲載内容は2026年時点の法令に基づきます。






