コラム
公開日: 2026.09.12

5ちゃんねるの開示請求|投稿者特定の流れ・費用を弁護士解説

難波みなみ法律事務所代表弁護士・中小企業診断士。大阪弁護士会所属(登録番号49544)、大阪中小企業診断士会所属(登録番号 420113)、幻冬舎「GOLDONLINE」連載第1回15回75回執筆担当。法的な問題には、法律の専門家である弁護士の助けが必要です。弁護士ドットコムココナラ弁護士ナビに掲載中。いつでもお気軽にご相談ください。初回相談無料(30分)。

ネット誹謗中傷/発信者情報開示

5ちゃんねる(5ch)に書き込まれた誹謗中傷は、発信者情報開示請求によって投稿者(書き込んだ人)を特定できます。5ちゃんねるは任意の開示には応じないため、投稿者の特定は裁判所の手続き(発信者情報開示命令・仮処分)で進めるのが基本です。ログイン不要で書き込める通常型の掲示板のため、投稿時のIPアドレスが開示の対象になりますが、ログの保存期間には限りがあるため、早い段階での着手が特定成功のカギになります。この記事では、5ちゃんねるの開示請求で投稿者を特定するまでの流れ、弁護士費用の目安、「難しい」と言われる理由と対処法を、大阪・難波の弁護士がわかりやすく解説します。

まず結論
5ちゃんねるの投稿者は特定できますか?
特定できます。発信者情報開示請求により、5ちゃんねるから投稿時のIPアドレス等を、経由プロバイダから契約者の氏名・住所を開示させる手続きが可能です。5ちゃんねるは任意開示に応じないため、実務では相手方の呼出しがなく迅速な「無審尋の仮処分」を中心に、裁判所の手続きで進めます。
5ちゃんねるの開示請求は難しいと聞きましたが本当ですか?
任意開示に応じず必ず裁判手続が必要な点と、時間との勝負である点が難しさの中心です。5ちゃんねる側のログ保存期間には限りがあり、IPアドレスを取得しても、すぐにプロバイダへ手続きを進めないと特定できなくなります。個人での対応は現実的に困難です。
費用はどのくらいかかりますか?
弁護士費用は着手金35万〜55万円が目安です。5ちゃんねるへの請求とプロバイダへの請求の2段階に対応する費用が中心で、削除・損害賠償まで進めるかで変動します。まずは無料相談で見通しと費用をご説明します。

15ちゃんねるの投稿者は特定できる

5ちゃんねる(5ch)に誹謗中傷を書き込んだ匿名の投稿者は、発信者情報開示請求という法的手続きによって特定できます。根拠となる法律は、従来の「プロバイダ責任制限法」を改正・改称した情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)で、2022年10月には、より迅速な特定を可能にする「発信者情報開示命令」という非訟手続きも新設されています。

5ちゃんねるは、ログインをせずに匿名で書き込める「通常型」の掲示板です。匿名であっても、投稿には通信の痕跡(IPアドレス・タイムスタンプ等)が残ります。この痕跡をたどることで、最終的に回線契約者の氏名・住所まで到達できるのが開示請求の仕組みです。投稿者を特定できれば、損害賠償請求(慰謝料)や投稿の削除へと進めます。

5ちゃんねるは裁判手続が基本:5ちゃんねるは、削除についてはメールやテレサ書式(送信防止措置依頼)による削除請求を受け付けていますが、投稿者情報の開示についてはテレサ書式による請求フォームがなく、裁判所の手続き(発信者情報開示命令・仮処分)が必要です。海外法人が運営しているとされ、任意の交渉での開示は期待しにくいため、初めから裁判手続を見据えて動くのが確実です。

25ちゃんねる開示請求の流れ(2段階)

5ちゃんねるの投稿者特定は、「①5ちゃんねるから投稿者のIPアドレスを取得する」「②IPアドレスから経由プロバイダを割り出し、契約者情報を取得する」の2段階で進みます。5ちゃんねる本体は契約者の氏名・住所までは持っておらず、氏名・住所は投稿者が使った通信回線のプロバイダが保有しているためです。5ちゃんねるの運営会社はフィリピンの法人です。フィリピンは送達条約・民訴条約に加盟していないため、裁判書類を国際スピード郵便で送ることができず、すべて「中央当局送達」という方法で送る必要があり、相手方を呼び出す期日の呼出しだけでも数か月を要します。一方で、経由プロバイダのアクセスログは短いものだと3か月ほどで消えてしまうため、通常どおり相手方を呼び出す審尋期日を経ていては、開示が間に合いません。そこで5ちゃんねるの開示では、相手方を呼び出さずに発令する「無審尋」の仮処分を裁判所に上申し、審尋期日を開かずに発令を求めるのが実務の中心です。なお、このような無審尋での発令は開示請求で認められるもので、削除請求では現在の東京地方裁判所では原則として認められていません。

  1. 証拠の保全投稿のURL・スクリーンショット・投稿日時(スレッド・レス番号)を保存します。削除されると特定が難しくなるため、見つけた時点での確保が最優先です。
  2. 5ちゃんねるへ無審尋の仮処分を申し立てる5ちゃんねるに対し、投稿時のIPアドレス・タイムスタンプ等の開示を求めます。開示用のテレサ書式フォームがないため、東京地方裁判所に無審尋(審尋期日を開かない発令)の仮処分を上申して申し立てます。発令されたら、受け取った決定正本を5ちゃんねるに示すことで、任意に開示に応じてもらえます(追加で疎明資料の確認を求められることもありますが、速やかに対応されます)。ログの保存期間が迫る場合は、消去禁止命令等の保全もあわせて検討します。
  3. 経由プロバイダの特定・契約者情報の開示請求開示されたIPアドレスから経由プロバイダ(回線事業者)を割り出し、契約者情報の開示を求めます。実務では発信者情報開示命令を基本に進めます。
  4. プロバイダへ契約者情報の開示請求経由プロバイダに対し、契約者の氏名・住所の開示を求めます。任意で応じない場合は開示命令で開示させます。
  5. 投稿者の特定開示された契約者情報により投稿者を特定します。特定後は損害賠償請求・削除へ進みます。
開示を目指すなら、投稿の削除を急ぎすぎないでください。掲示板では、投稿が削除されると投稿時の通信ログもたどれなくなるおそれがあります。削除を先に済ませてしまうと、かえって投稿者を特定できなくなることがあります。特定を優先する場合は、削除より先に(または並行して)開示の手続きを進めるのが安全です。

3「5ちゃんねるの開示請求は難しい」と言われる理由

5ちゃんねるの開示請求は、必ず裁判手続が必要で、時間の制約も大きいのが特徴です。主な理由は次の6つで、いずれも早期の専門家関与で乗り越えやすくなります。

  • 任意開示に応じず、必ず裁判手続が必要5ちゃんねるは投稿者情報の任意開示に応じないため、発信者情報開示命令・仮処分の裁判手続を避けられません。個人での交渉では前に進みにくいのが実情です。
  • ログの保存期間に限りがある5ちゃんねる側が持つ投稿時IPアドレスのログや、経由プロバイダの接続ログには保存期間があります。携帯電話は約3か月、固定回線は6か月〜1年程度が目安で、消えると特定はほぼ不可能になります。
  • 投稿が削除されると手がかりが消える投稿が削除されると、投稿時の通信ログをたどれなくなるおそれがあります。特定を目指す場合、安易な削除は逆効果になり得ます。
  • モバイル回線・共有IPで特定できないことがあるスマホの回線(キャリアのCGN/共有IP)では、IPアドレスから契約者を一意に絞れない場合があります。
  • 契約者=投稿者とは限らない家族共用回線・フリーWi-Fi等では、契約者と実際の投稿者が異なることがあります。
  • 個人での手続きが技術的・法的に困難裁判所への申立書作成、疎明資料の準備、プロバイダとの交渉には専門知識が必要です。
最大のリスクは「待つこと」です。ログの保存期間が限られる5ちゃんねるでは、「まず自分で調べてから」と時間をかけているうちにログが消え、永久に特定できなくなる例が少なくありません。投稿を見つけたら、まず相談することが重要です。

4特定を成功させる3つのポイント

  • とにかく早く動く5ちゃんねる側・プロバイダ側のログには保存期間があります。投稿を見つけたら数日以内に相談し、まず5ちゃんねるへの手続きに着手することが重要です。
  • 削除より先に証拠を保全する削除するとログの手がかりを失うおそれがあります。まずはURL・スクリーンショット・投稿日時を確実に保存し、開示の手続きを優先します。
  • 最初から弁護士に依頼する裁判所・プロバイダへの手続きまで一気通貫で進められます。任意開示に応じない5ちゃんねるでは、初動から裁判手続を見据えて動くほど特定に至りやすくなります。

5弁護士費用の目安

5ちゃんねるの開示請求を弁護士に依頼した場合の費用は、着手金35万〜55万円が目安です。5ちゃんねるへの請求とプロバイダへの請求の2段階に対応する費用が中心で、その後の削除や損害賠償請求まで進めると事案により変動します。

開示請求(着手金の目安)
35万〜55万円
5ちゃんねる+プロバイダの2段階
投稿の削除
事案による
同時に依頼可能
損害賠償請求
特定後に別途
回収額に応じた報酬等
費用の考え方:特定後の損害賠償で費用の一部を回収できる場合もありますが、賠償額が費用を下回ることもあります。依頼前の無料相談で、見込みと費用対効果をご説明します。

6特定後にできること

投稿者を特定できれば、次の対応が可能になります。

対応内容
損害賠償請求名誉毀損・侮辱・プライバシー侵害等による精神的損害の慰謝料を請求します。時効は加害者を知った時(=特定した時)から3年です。
投稿の削除残っている投稿の削除を求めます。開示請求と並行して進めることも可能です。
再発防止の合意示談の中で、二度と書き込まない旨の合意(誓約)を取り付けることができます。
当事務所の取扱いについて:難波みなみ法律事務所は、開示請求・削除・損害賠償などの民事の対応を承っています。刑事事件(刑事告訴・刑事弁護)は取り扱っておりませんので、あらかじめご了承ください。

7解決に向けた実務の傾向

実務の傾向

5ちゃんねるの投稿については、投稿から日が浅いうちに着手できたケースほど、掲示板側・プロバイダ側のログが残っているうちに手続きを進めやすく、契約者情報の開示に至りやすい傾向があります。任意開示に応じず裁判手続が必要な5ちゃんねるでは、この「早さ」がとりわけ重要です。

一方で、相談時にすでに数か月が経過しログが消去されていたケースでは、特定を断念せざるを得ないこともあります。結果は事案によって異なりますが、「早く動いたかどうか」が結果を大きく左右するのが実務の実感です。

5ちゃんねるの投稿者を特定したい方へ

難波みなみ法律事務所(大阪・難波/心斎橋)では、5ちゃんねる(5ch)の開示請求・削除・損害賠償を一括してサポートします。ログが消える前に、まずはご相談ください。

8よくあるご質問

5ちゃんねるの開示請求の費用はいくらですか?

弁護士費用は着手金35万〜55万円が目安です。5ちゃんねるとプロバイダへの2段階の手続きに対応する費用が中心で、削除や損害賠償まで含めると事案により変動します。無料相談で具体的にご説明します。

5ちゃんねるの開示請求はなぜ難しいのですか?

5ちゃんねるが任意開示に応じず、必ず裁判手続が必要になるうえ、ログの保存期間にも限りがあるからです。IPアドレスを取得してもすぐにプロバイダへ進めないとログが消えて特定できなくなります。早期に弁護士へ依頼することで乗り越えやすくなります。

開示請求は何日くらいかかりますか?

数か月かかるのが一般的です。5ちゃんねるへの請求からプロバイダの契約者情報開示まで、開示命令を使っても数か月程度を要します。ログ保存期間内に終える必要があるため、着手の早さが重要です。

削除依頼と開示請求は何が違いますか?

目的が異なります。削除は投稿を消すための手続き、開示請求は書き込んだ人を特定するための手続きです。5ちゃんねるは削除依頼をメールで受け付けますが、開示は任意には応じず裁判手続が必要です。特定も望む場合は、削除を急ぐ前に開示を検討してください。

開示請求したことは相手にバレますか?

手続きの過程で相手に通知されます。プロバイダは契約者情報を開示する前に、契約者本人へ意見照会(開示してよいか)を行うため、開示請求があったことは相手に伝わります。

昔の書き込みでも開示請求できますか?

ログが残っていれば可能ですが、時間の経過とともに難しくなります。5ちゃんねる側・プロバイダ側のログには保存期間があり、経過すると特定できなくなります。古い投稿ほど早めのご相談が重要です。

投稿が削除されても特定できますか?

条件次第で可能です。投稿が消えていても、プロバイダにログが残っていれば特定できる場合があります。ただしログの保存期間には限りがあるため、早期の相談が不可欠です。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案への法的判断を示すものではありません。開示の可否・費用・見込みは事案により異なります。当事務所は民事(開示・削除・損害賠償)を取り扱い、刑事事件は取り扱っておりません。具体的な対応は難波みなみ法律事務所(代表弁護士 南宜孝/大阪弁護士会)までご相談ください。掲載内容は2026年時点の法令に基づきます。

関連記事

「離婚」カテゴリーのピックアップコラム

「遺言・相続」カテゴリーのピックアップコラム

「労働問題」カテゴリーのピックアップコラム

「顧問契約」カテゴリーのピックアップコラム

「債務整理」カテゴリーのピックアップコラム

「不動産」カテゴリーのピックアップコラム

よく読まれている記事
PAGE TOP