コラム
更新日: 2026.09.10

転職会議の口コミを削除する方法|事業者向けに弁護士が解説

難波みなみ法律事務所代表弁護士・中小企業診断士。大阪弁護士会所属(登録番号49544)、大阪中小企業診断士会所属(登録番号 420113)、幻冬舎「GOLDONLINE」連載第1回15回75回執筆担当。法的な問題には、法律の専門家である弁護士の助けが必要です。弁護士ドットコムココナラ弁護士ナビに掲載中。いつでもお気軽にご相談ください。初回相談無料(30分)。

転職会議の口コミ削除と投稿者特定
まず結論
転職会議の口コミは削除できますか?
削除できる場合があります。転職会議は原則として口コミを削除しませんが、個人特定・誹謗中傷・虚偽(在籍情報の信憑性が低い投稿)などガイドライン違反や、名誉毀損・信用毀損にあたる投稿は、運営への削除依頼・送信防止措置依頼・削除仮処分で削除できる可能性があります。
投稿した相手(元従業員など)は特定できますか?
特定できる場合があります。運営会社に対して登録情報や投稿時のIPアドレスの開示を求め、経由プロバイダへ二段階で開示請求します。ただし口コミには真実性・公益性が認められやすく、開示が認められるハードルは投稿内容によります。
費用や期間の目安は?
削除仮処分は概ね1〜2か月、投稿者の特定は数か月〜半年程度が一般的です。弁護士費用は着手金・報酬制で事案により幅があります。難波みなみ法律事務所は初回相談無料です。

採用や取引に影響する「転職会議」のネガティブな口コミにお困りの企業・経営者の方へ。「事実と違う口コミを消したい」「悪質な投稿をした元従業員を特定したい」という2つの目的では、進め方が変わります。この記事では、大阪市なんば・心斎橋の難波みなみ法律事務所が、転職会議の口コミの削除・投稿者特定・費用・時効を、事業者の立場から実務にそって解説します。

1転職会議とは(削除・特定の前提)

転職会議は、株式会社リブセンスが運営する、企業の評判・年収・社風などを共有する会員制の口コミサイトです。口コミは、会員登録をして前職・現職の情報を登録したユーザーが投稿する仕組みで、閲覧も会員向けが中心です。

ここで重要なのが、転職会議の基本方針です。転職会議は「ポジティブな投稿だけでなく、厳しい意見も、誹謗中傷や個人特定にあたらない限りできる限り掲載する」としており、原則として口コミの削除を受け付けていません(投稿者が退会しても掲載は続きます)。そのうえで、投稿ガイドラインに違反する口コミは例外的に削除の対象になります。

ポイント転職会議は「原則削除しない会員制サイト」です。削除はガイドライン違反・違法性のある投稿に絞って、運営への依頼→送信防止措置依頼→削除仮処分の順に進めます。会員制のため、投稿者特定では登録情報が手がかりになります。

2転職会議の口コミを削除する方法

方法1:ガイドライン違反として運営へ削除を依頼する

まずは、運営(リブセンス)のお問い合わせフォームから、投稿ガイドラインへの違反を理由に削除を申請します。運営が審査し、違反と判断されれば削除されます。なお転職会議は、テレコムサービス協会のガイドラインに準じた手続で削除・開示請求を受け付けています。転職会議が自ら公表している主な削除対象は、次のとおりです。

削除対象になりうる投稿具体例
個人が特定される投稿特定の個人のプライバシーを侵害する内容(氏名・部署などから個人が分かる書き込み)
誹謗中傷にあたる投稿建設的でない、他者への配慮を欠く侮辱的な表現
実体験に基づかない投稿憶測・伝聞・虚偽・噂。在籍情報の信憑性が低い投稿(給与や労働時間・休日数が現実にあり得ない数値など)は原則削除対象
機密・犯罪等インサイダー・機密情報、事件性・犯罪性のある投稿、無関係の企業・団体への言及
宣伝・評価操作広告・外部リンク誘導、企業の評価・評判を操作する意図の投稿

費用をかけずに試せる第一歩ですが、削除するかどうかは運営の審査次第で、確実ではありません。とくに後述のとおり、事実に基づく率直な意見は削除されにくい点に注意が必要です。

方法2:送信防止措置依頼(プロバイダ責任制限法)

運営への通常の依頼で対応されない場合は、送信防止措置依頼を検討します。これは、情報流通プラットフォーム対処法(旧・プロバイダ責任制限法)にもとづき、権利を侵害する投稿の削除を正式に求める手続です。会社の社会的評価を下げる名誉毀損、事業上の信用を害する信用毀損、従業員個人のプライバシー侵害などを根拠に、侵害の事実を示して申し入れます。

方法3:削除仮処分(裁判手続)

任意の対応で削除されないときは、運営会社(リブセンス)を相手に、名誉権・信用・プライバシーといった人格権にもとづく削除の仮処分を裁判所に申し立てます。運営会社は国内の事業者のため、海外SNSより手続を進めやすいのが特徴です。

転職会議は「仮処分」が適切なことが多い転職会議には、問題の口コミを全文ではなく一部だけ削除(該当箇所を「※」で置き換える)する運用があります。裁判外の請求では運営が一方的に削除範囲を決めてしまいますが、仮処分なら削除範囲を主張でやり取りしながら詰められるため、転職会議では仮処分が適切なことが多いとされます。部分削除に対応するには、問題のある箇所を一つひとつすべて特定して違法性を主張することが必要です。
証拠の保全対象の口コミURL・投稿日・スクリーンショットを、日時がわかる形で保存します。表示が変わる前の保全が重要です。
運営へ削除依頼・送信防止措置依頼ガイドライン違反・権利侵害を根拠に、フォーム・書面で削除を求めます。
応じなければ削除仮処分リブセンスを相手に、人格権・信用にもとづく削除仮処分を申し立てます。

3「事実に基づく口コミ」は削除が難しい

会社にとって不利な口コミでも、内容が真実で、公益にかかわり、表現も相当な範囲であれば、名誉毀損は成立せず(違法性が認められず)、削除は困難です。労働環境・待遇に関する率直な意見は、転職希望者にとって公共性の高い情報とされやすく、正当な口コミとして保護される傾向があります。

消せるのは「違法な部分」削除・特定を実現しやすいのは、虚偽の事実、在籍実態のない投稿、個人を特定する内容、単なる侮辱・誹謗中傷、機密漏えいなど、違法性がはっきりした投稿です。口コミ全体の一律削除ではなく、違法な部分を特定して求めるのが実務の基本です。事実に基づく厳しい意見は、削除より組織・待遇の改善で向き合うのが結果的に有効なこともあります。

もっとも、「事実に基づくから消せない」とあきらめる必要はありません。具体的な事実を摘示して会社の社会的評価を下げる投稿は、名誉毀損として削除・特定が認められています。転職会議の口コミについても、次のように会社の社会的評価の低下を認めた裁判例があります。

転職会議で社会的評価の低下が認められた例 ・「子育て中の従業員が急な休暇の取得や学校行事への参加の際に陰湿なペナルティを課す」といった趣旨の投稿について、原告が子育て中の者にとって休暇等を取得しにくい会社であるとの印象を与えるとして、社会的評価の低下を認めた例(東京地判平成31年2月26日)。
・「上司が部下に手をあげる」「パワハラしている方は自覚が無い」といった投稿について、社内で暴行事件が発生しパワーハラスメントが横行する劣悪な環境と理解されるとして、社会的評価の低下を認めた例(東京地判令和3年3月23日)。

4投稿者(元従業員など)を特定する方法

悪質な投稿について、投稿者の責任を追及したい場合は、発信者情報開示で投稿者を特定します。転職会議は投稿ごとのIPアドレスを記録しており、発信者情報開示にも応じています。会員制(登録型)で運営会社がユーザーの登録情報を把握している点も、特定の手がかりになります。手続は、削除と同じくガイドラインに準じた裁判外の請求や、発信者情報開示命令(令和3年改正で新設された非訟手続)・仮処分で進めます。もっとも、開示が認められるには、その投稿に権利侵害が明白であることが前提です。

請求すると投稿者に連絡が行く(意見照会)転職会議は登録型のため、削除・開示の請求を受けると、投稿したユーザーに個別に連絡して意見を聴く(意見照会)運用をとっています。請求の際は、対象の口コミごとに、どこがどう違法なのかを個別・具体的に示すことが重要です。

運営会社から開示されるのはIPアドレス等までで、投稿者本人の氏名・住所は分かりません。開示されたIPから通信を提供した経由プロバイダを特定し、もう一度開示を求める――という二段階(少なくとも2回の手続)で、はじめて投稿者にたどり着きます。

特定できるかは投稿内容しだい投稿者特定は、まず対象の投稿に権利侵害(名誉毀損・信用毀損など)が認められることが前提です。虚偽の事実の摘示や、在職中に知った営業秘密・秘密保持義務に反する投稿であれば、開示や別途の責任追及が可能です。なお、投稿者が「真実だと信じた相当の理由」(真実相当性)がないことまで会社側が示さなくても開示を認めた裁判例(東京高判令和2年11月11日)もあり、開示のハードルは投稿内容によっては高くありません
速さは仮処分が優位発信者情報開示命令は、相手が任意に従わないときの間接強制が、告知から1か月の異議申立期間を経て確定するまでできません。経由プロバイダの通信記録(ログ)の保存期間は限られるため、時間との勝負になる第一段階では、発令後すぐに執行できる仮処分の方が優位なことがあります。

5費用・期間の目安

手続期間の目安内容
運営への削除依頼(フォーム)数日〜数週間費用をかけず試せる。ガイドライン違反かは運営の審査で不確実。
送信防止措置依頼数週間〜権利侵害を根拠に正式に削除を申し入れ。
削除仮処分概ね1〜2か月運営会社を相手に人格権・信用にもとづき削除。
投稿者の特定(開示)数か月〜半年程度運営で登録情報・投稿時IPを取得→経由プロバイダで契約者を特定(二段階)。

弁護士費用は、着手金・報酬制で、削除のみか、特定・損害賠償まで行うかによって幅があります。具体的な金額は、投稿内容をうかがったうえでご説明します。難波みなみ法律事務所は初回相談無料です。

6時効と、急いだほうがよい理由

投稿者特定の鍵になる通信記録(アクセスログ)は、事業者ごとに保存期間が限られ、経過すると特定が難しくなります。これが「急ぐべき」最大の理由です。

また、名誉毀損・信用毀損による損害賠償を請求できる権利(不法行為に基づく損害賠償請求権)は、損害および加害者を知った時から3年で時効にかかります。匿名投稿では、この「加害者を知った時」は投稿者を特定できた時にあたるため、3年の時効は投稿者が特定できてから進行を始めるのが原則です。もっとも、その前提となるログには保存期間の限りがあるため、早期の着手が重要です。

まとめ転職会議の口コミは、削除(運営への依頼→送信防止措置依頼→削除仮処分)と投稿者特定(運営で登録情報・投稿時IP→経由プロバイダ)で対応できます。運営会社は国内事業者(株式会社リブセンス)。ただし事実に基づく正当な口コミは削除が難しく、違法な投稿に絞るのが実務です。ログと時効の期限があるため、早めのご相談が有効です。

7よくある質問

会社に不利な口コミなら削除してもらえますか?
不利というだけでは削除できません。削除できるのは、虚偽の事実、在籍実態のない投稿、個人を特定する内容、侮辱・誹謗中傷、機密漏えいなど、ガイドライン違反や違法性のある投稿です。事実に基づき公益にかかわる率直な意見は、正当な口コミとして削除が難しいのが原則です。
削除依頼はどこにすればよいですか?
まずは運営(リブセンス)のお問い合わせフォームから、投稿ガイドライン違反を理由に削除を申請します。対応されない場合は、送信防止措置依頼や、運営会社を相手とする削除仮処分を検討します。
在籍していない人が書いたと思われる口コミは消せますか?
転職会議は「在籍情報の信憑性が低い投稿」を原則削除対象としています。給与・労働時間・休日数などが実態とかけ離れているなど、在籍実態を疑う事情を具体的に示して削除を求めます。
投稿した元従業員を特定できますか?
投稿に名誉毀損・信用毀損などの権利侵害が認められることが前提です。転職会議は投稿ごとのIPアドレスを記録し、発信者情報開示にも応じています。会員制のため登録情報も手がかりになり、具体的な事実を摘示して会社の社会的評価を下げる投稿であれば開示が認められた裁判例もあります。営業秘密・秘密保持義務違反があれば別途責任を追及できます。
運営会社に開示請求すれば投稿者の名前が分かりますか?
運営会社から開示されるのは登録情報やIPアドレス等までです。投稿者本人の氏名・住所を特定するには、そのIPの通信を提供した経由プロバイダに対して、もう一度(第二段階の)発信者情報開示を行う必要があります。
口コミを書いた本人が退会すれば消えますか?
消えません。転職会議では、投稿者が退会しても口コミは掲載され続けます。削除には、ガイドライン違反としての依頼や、法的手続が必要です。
どのくらい急ぐ必要がありますか?
早いほど有利です。特定に使う通信記録(ログ)は保存期間が限られ、経過すると特定が困難になります。損害賠償の時効も、損害と加害者を知った時から3年です。見つけたら早期にご相談ください。
弁護士に依頼せず自分でできますか?
運営への削除依頼はご自身でも可能です。もっとも、送信防止措置依頼・削除仮処分・発信者情報開示は、名誉毀損の成否や真実性の判断、二段階の期限管理が専門的で、途中でログが消えると取り返しがつきません。確実性を求めるなら弁護士への依頼をおすすめします。

転職会議の口コミ対応は、大阪の難波みなみ法律事務所へ

削除・投稿者特定・損害賠償まで、投稿内容に応じた最適な進め方をご説明します。ログが消える前に、まずは無料相談を。

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監修:難波みなみ法律事務所(大阪市中央区なんば・心斎橋/代表弁護士 南 宜孝)。本記事は一般的な解説であり、個別の事案の結論を保証するものではありません。掲載の法令・サイトの運営状況は執筆時点のものです。具体的な対応は、弁護士にご相談ください。

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