ネットで誹謗中傷を受けたとき、警察に相談すること自体はできます。警察相談専用電話「#9110」や、各都道府県警のサイバー犯罪相談窓口が用意されています。ただし、名誉毀損罪などは成立要件が厳しく、また相手が匿名の場合は加害者を特定できないため、警察がすぐに動いてくれるとは限らないのが実情です。投稿者を特定して賠償を求めたい・投稿を消したいという場合は、民事の手続き(発信者情報開示・損害賠償・削除)のほうが確実です。この記事では、警察に相談する方法、被害届と告訴の違い、警察が動きにくい理由、そして民事での解決との使い分けを、大阪・難波の弁護士が解説します。
- 誹謗中傷を警察に相談できますか?
- できます。警察相談専用電話「#9110」や各都道府県警のサイバー犯罪相談窓口で相談を受け付けています。相談自体は無料です。ただし、事件性が認められないと捜査は始まらないことが多く、相手が匿名だと警察でも特定できない場合があります。
- 警察は必ず動いてくれますか?
- 必ずではありません。名誉毀損罪・侮辱罪は成立要件が厳しく、また民事不介入の原則から、警察が捜査に踏み込まないことも少なくありません。投稿者の特定や賠償を確実に進めたいなら、民事の発信者情報開示・損害賠償が近道です。
- 被害届と告訴はどう違いますか?
- 被害届は「被害を受けた事実を知らせる」もの、告訴は「加害者の処罰を求める正式な申立て」です。名誉毀損罪・侮辱罪は親告罪で、起訴には告訴が必要です。告訴には法律上、捜査機関の受理義務がありますが、実務では受理を渋られることもあり、証拠をそろえて弁護士に依頼して進めるのが一般的です。
1誹謗中傷を警察に相談する方法
ネットの誹謗中傷は、次の窓口で警察に相談できます。緊急の身の危険(殺害予告・つきまとい等)がある場合は、迷わず110番してください。
2被害届と告訴の違い
警察への申告には「被害届」と「告訴」があり、意味が異なります。誹謗中傷で問題となる名誉毀損罪・侮辱罪は親告罪で、起訴してもらうには告訴が必要です。
| 区分 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 被害届 | 被害を受けた事実を警察に知らせる書面。 | 処罰を求める意思表示までは含まない。受理されても捜査が始まるとは限らない。 |
| 告訴 | 加害者の処罰を求める正式な申立て。 | 名誉毀損罪・侮辱罪は親告罪のため、起訴には告訴が必要。法律上は捜査機関に受理義務があるが、実務では「とりあえず預かる」として受理を渋られることもあり、証拠をそろえて行う。 |
3警察が動きにくいのはなぜか
「警察に相談したのに動いてくれなかった」という声は少なくありません。これは、次のような事情によるものです。
- 民事不介入の原則警察は、当事者間の民事的な争い(賠償など)には基本的に介入しません。「まずは民事で」と案内されることがあります。
- 成立要件と事件性のハードル名誉毀損罪・侮辱罪は成立要件が厳しく、投稿が犯罪に当たると明確に判断できる証拠がないと、捜査に踏み込みにくいのが実情です。
- 相手が匿名で特定できない匿名投稿では加害者が誰か分からず、警察が捜査に着手しても特定に至らないことがあります。投稿者の特定は、民事の発信者情報開示のほうが確実です。
4確実なのは「民事」での解決
投稿者を特定して賠償を求めたい、投稿を削除したいという場合は、刑事(警察)よりも民事の手続きのほうが確実です。民事なら、被害者自身の手続きとして、相手の特定から賠償・削除まで進められます。
| 区分 | 目的・内容 | 取扱い |
|---|---|---|
| 刑事(警察・告訴) | 加害者の処罰を求める。捜査・起訴するかは捜査機関の判断。名誉毀損罪・侮辱罪など。 | 当事務所では取り扱っておりません。 |
| 民事(開示・削除・損害賠償) | 投稿者を特定し、慰謝料などの賠償請求や投稿の削除を求める。被害の回復が目的。 | 当事務所が取り扱う対応です。 |
5迷ったら、まず証拠を残して弁護士へ
警察に相談するか民事で進めるか迷う場合でも、共通して大切なのは証拠の保全と早く動くことです。次の順番を意識してください。
- 証拠を保存する投稿のURL・スクリーンショット・投稿日時・アカウント名を、日付が分かる形で保存します。削除される前に確保することが最優先です。
- 相談先を選ぶ処罰を求めたいなら警察(#9110・サイバー犯罪相談窓口)、特定・賠償・削除で被害を回復したいなら弁護士(民事)。両方に相談しても構いません。
- 早めに着手する投稿者の特定に使うログには期限があります。迷っている間に消えることがあるため、できるだけ早く動きます。
難波みなみ法律事務所(大阪・難波/心斎橋)では、誹謗中傷の発信者情報開示・損害賠償請求・削除を一括してサポートします。ログが消える前に、まずはご相談ください。
6よくあるご質問
誹謗中傷を警察に相談したら、動いてくれますか?
相談は受け付けてもらえますが、必ず捜査してくれるとは限りません。名誉毀損罪・侮辱罪は成立要件が厳しく、民事不介入の原則もあるため、「まずは民事で」と案内されることもあります。特定や賠償を確実に進めたいなら民事の手続きが近道です。
相談や被害届に費用はかかりますか?
警察への相談・被害届の提出自体に費用はかかりません。#9110や各都道府県警のサイバー犯罪相談窓口も無料です。一方、民事で投稿者の特定・賠償・削除を進める場合は弁護士費用がかかります。
被害届と告訴、どちらを出すべきですか?
加害者の処罰を求めるなら告訴です。名誉毀損罪・侮辱罪は親告罪で、起訴には告訴が必要です。被害届は被害の申告にとどまり、処罰までつながらないことがあります。告訴は要件・証拠の整理が必要なため、弁護士に依頼して進めるのが一般的です。
相手が匿名でも、警察が特定してくれますか?
匿名投稿では、警察が捜査に着手しても加害者を特定できないことがあります。投稿者(回線契約者)の氏名・住所を特定するには、民事の発信者情報開示請求のほうが確実です。ログの保存期間の制約があるため、早めの着手が重要です。
#9110とは何ですか?
警察相談専用電話の番号です。緊急性のない相談の総合窓口で、担当部署や必要な手続きを案内してもらえます。緊急の身の危険がある場合は110番してください。
警察が動いてくれない場合はどうすればよいですか?
投稿者を特定して賠償を求める・投稿を削除するといった被害回復は、民事の手続きで進められます。発信者情報開示で相手を特定し、損害賠償請求や削除請求を行います。証拠を保全のうえ、早めに弁護士へご相談ください。
警察と弁護士、両方に相談してもよいですか?
構いません。処罰を求める刑事と、賠償・削除を求める民事は目的が異なり、並行して進めることもできます。ただし当事務所は民事(開示・損害賠償・削除)を取り扱い、刑事事件は取り扱っておりません。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案への法的判断を示すものではありません。警察の対応・立件の可否は事案により異なります。当事務所は民事(発信者情報開示・削除・損害賠償)を取り扱い、刑事事件(刑事告訴・刑事弁護)は取り扱っておりません。具体的な対応は難波みなみ法律事務所(代表弁護士 南宜孝/大阪弁護士会)までご相談ください。掲載内容は2026年時点の情報に基づきます。






