ネット上の誹謗中傷は、相手を特定できれば、民事で「訴える」=損害賠償(慰謝料)を請求できます。相手が匿名でも、発信者情報開示請求で投稿者を特定したうえで、示談交渉や損害賠償請求訴訟へと進められます。ただし、投稿者を特定するための通信ログには保存期間があるため、早い段階での着手が結果を大きく左右します。この記事では、誹謗中傷で相手を訴えるまでの流れ、訴えられる(請求が認められる)ケース、弁護士費用と期間の目安、時効の注意点を、大阪・難波の弁護士がわかりやすく解説します。
- 誹謗中傷で相手を訴えることはできますか?
- できます。投稿があなたの権利を侵害している場合、民事では損害賠償(慰謝料)を請求でき、相手が応じなければ損害賠償請求訴訟を起こせます。まず相手を特定することが出発点になります。
- 相手が匿名でも訴えられますか?
- 訴えられます。匿名の投稿でも、発信者情報開示請求で投稿者(回線契約者)の氏名・住所を特定したうえで訴えることができます。特定にはログの保存期間の制約があるため、早期の着手が重要です。
- 費用や期間はどのくらいですか?
- 相手の特定が必要な場合、開示請求で着手金35万〜55万円程度、その後の損害賠償請求で別途費用がかかります。特定から解決までは半年〜1年程度が目安です。まずは無料相談で見通しをご説明します。
1誹謗中傷は民事で「訴える」=損害賠償を請求できる
ネット上の誹謗中傷で相手を「訴える」には、大きく民事と刑事の2つの道がありますが、被害者が金銭的な賠償を求める場合は民事(損害賠償請求)が中心になります。投稿によって名誉やプライバシーなどの権利を侵害された場合、加害者に対して慰謝料などの損害賠償を請求でき、相手が支払いに応じなければ、裁判所に損害賠償請求訴訟を提起できます。
根拠となるのは民法の不法行為(民法709条・710条)です。投稿が権利侵害にあたることを前提に、精神的損害への慰謝料や、調査・特定に要した弁護士費用の一部などを請求します。相手が匿名の場合は、その前提として発信者情報開示請求で投稿者を特定する必要があります。
2誹謗中傷で訴えるまでの流れ
相手が匿名の場合、「①証拠の保全 → ②発信者情報開示による特定 → ③損害賠償の請求(示談交渉)→ ④損害賠償請求訴訟」という順で進みます。相手がすでに分かっている場合は、②を省いて③から始められます。
- 証拠の保全投稿のURL・スクリーンショット・投稿日時を保存します。削除・拡散される前に確保することが、その後のすべての手続きの土台になります。
- 発信者情報開示による投稿者の特定相手が匿名なら、サイト・SNSと経由プロバイダへの2段階の開示請求で、投稿者(回線契約者)の氏名・住所を特定します。ログの保存期間に制約があるため、ここが時間との勝負です。
- 損害賠償の請求(示談交渉)特定できたら、加害者へ慰謝料などの損害賠償を請求します。相手が任意に応じれば、示談(和解)で解決することも多く、訴訟より早期・低コストで済みます。
- 損害賠償請求訴訟相手が支払いに応じない場合は、裁判所に損害賠償請求訴訟を提起します。訴訟は原則として相手(投稿者)の住所地を管轄する裁判所に起こします。判決で認められれば、賠償金の支払いを求められます。
3訴えられる(請求が認められる)のはどんな投稿か
損害賠償が認められるのは、投稿が具体的な権利侵害にあたる場合です。単に「不快だ」というだけでは足りず、次のような権利侵害の有無で判断されます。
| 権利侵害の類型 | 典型例 |
|---|---|
| 名誉毀損 | 社会的評価を下げる具体的事実の摘示(「○○は不倫している」「前科がある」等)。真実性・公益性が認められない場合。 |
| 名誉感情の侵害(侮辱) | 「バカ」「ブス」など、社会通念上許される限度を超える侮辱的表現。 |
| プライバシー侵害 | 本名・住所・勤務先・家族・病歴など、公開されていない私生活上の情報の暴露。 |
| 肖像権侵害 | 無断で撮影・掲載された顔写真など。 |
4訴える前に知っておきたい判断ポイント
「訴えるかどうか」を決める前に、次の点を押さえておくと、見通しを立てやすくなります。
- 相手の特定ができるか匿名投稿は、ログが残っているうちに開示請求を進められれば特定できます。時間が経つとログが消え、特定できなくなります。
- 権利侵害が認められるか意見・論評にとどまるものや、真実性・公益性が認められる指摘は、損害賠償が認められにくいことがあります。投稿の内容次第です。
- 費用対効果特定後の損害賠償で費用の一部を回収できる場合もありますが、賠償額が費用を下回ることもあります。金銭回収だけでなく、再発防止や削除も目的に含めて検討します。
5費用・期間の目安
誹謗中傷で相手を訴える場合の費用は、相手の特定が必要かどうかで大きく変わります。匿名投稿では、発信者情報開示(特定)と損害賠償請求の2段階の費用がかかります。
6時効に注意(3年・早く動くほど有利)
損害賠償を請求できる期間には時効があります。不法行為に基づく損害賠償請求権の時効は、加害者を知った時(=投稿者を特定した時)から3年、投稿の時から20年です(民法724条)。
もっとも、実務で本当に問題になるのは時効よりも通信ログの保存期間です。ログは経由プロバイダで概ね3〜6か月で消えていくため、時効の3年を待つ余裕はありません。被害を見つけたら、できるだけ早く(目安として1〜2か月以内に)動くことが、訴えて賠償を得るための最大のポイントです。
7民事と刑事の違い
「訴える」には民事と刑事の2つがあり、目的が異なります。当事務所は民事(損害賠償・特定・削除)を取り扱います。
| 区分 | 目的・内容 |
|---|---|
| 民事(損害賠償請求) | 加害者に金銭的な賠償(慰謝料等)を求める手続き。被害の回復・再発防止が目的。当事務所が取り扱う対応です。 |
| 刑事(刑事告訴) | 加害者の処罰を求めて捜査機関に申告する手続き。名誉毀損罪・侮辱罪等が対象。当事務所では取り扱っておりません。 |
難波みなみ法律事務所(大阪・難波/心斎橋)では、誹謗中傷の投稿者特定・損害賠償請求・削除を一括してサポートします。ログが消える前に、まずはご相談ください。
8よくあるご質問
誹謗中傷で訴えると、いくらくらい取れますか?
賠償額は事案により幅があります。投稿の内容・回数・拡散の程度・実害によって変わり、慰謝料が弁護士費用を下回ることもあります。金額の見込みは、投稿の内容をうかがったうえで無料相談でご説明します。
投稿のせいで売上が減りました。その分も請求できますか?
売上減少などの逸失利益は、投稿との因果関係の立証が難しく、原則として認められません。損害賠償は原則として慰謝料(精神的損害)に限られます。会社・店舗の場合は、信用回復のコストなどの「無形損害」を請求できます。なお、特定にかかった弁護士費用は別途請求できる場合があります。
どんな投稿なら訴えられますか(請求が認められる基準)?
名誉毀損・名誉感情の侵害(侮辱)・プライバシー権侵害・肖像権侵害などの権利侵害にあたる投稿が対象です。単に不快というだけでは足りず、意見・論評にとどまるものや、真実性・公益性が認められる指摘は認められにくいことがあります。
相手が匿名でも訴えられますか?
訴えられます。発信者情報開示請求で投稿者(回線契約者)の氏名・住所を特定したうえで、損害賠償を請求します。特定にはログの保存期間の制約があるため、早期の着手が必要です。
訴えるまでにどのくらい時間がかかりますか?
相手の特定が必要な場合、特定から解決までで半年〜1年程度が目安です。発信者情報開示に数か月、その後の損害賠償請求(交渉・訴訟)に数か月を要します。相手が分かっていれば、より短期間で進められます。
自分で訴えることはできますか?
手続き上は可能ですが、匿名投稿では発信者情報開示の裁判手続や、権利侵害の的確な主張・立証が必要で、個人での対応は現実的に困難です。ログの期限もあるため、早めに弁護士へ依頼するのが確実です。
訴えたことは相手に知られますか?
手続きの過程で相手に伝わります。特定の段階では、プロバイダが契約者本人へ意見照会を行い、損害賠償請求や訴訟では相手に通知・送達がされるため、請求したことは相手に知られます。
昔の投稿でも訴えられますか?
時効(加害者を知った時から3年・投稿時から20年)内であれば請求できますが、実務では通信ログの保存期間(概ね3〜6か月)の方が先に問題になります。古い投稿ほど特定が難しくなるため、早めのご相談が重要です。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案への法的判断を示すものではありません。請求の可否・費用・見込みは事案により異なります。当事務所は民事(開示・削除・損害賠償)を取り扱い、刑事事件は取り扱っておりません。具体的な対応は難波みなみ法律事務所(代表弁護士 南宜孝/大阪弁護士会)までご相談ください。掲載内容は2026年時点の法令に基づきます。






