Q. むちうちがなかなか治りません。このままで大丈夫でしょうか。
むちうち(頚椎捻挫・外傷性頚部症候群)は、多くは適切な治療で回復に向かいますが、一部は長引くことがあります。大切なのは、自己判断で通院をやめないこと、医師に症状を正確に伝えて記録を残すことです。改善が止まった段階では、後遺障害の申請という道があります。
Q. 保険会社に「そろそろ治るはず」と言われ、治療を打ち切られそうです。
治療を続ける必要があるかは医学的に判断されるもので、保険会社が決めることではありません。医師が必要と認めているなら、打ち切りを告げられても治療は続けられます。健康保険に切り替えて通院を続け、立て替えた分はあとで請求できます。
Q. 治らないまま症状が残ったら、どうなりますか。
これ以上の改善が見込めない状態(症状固定)になったら、残った症状について後遺障害の認定を受けることを検討します。むちうちの神経症状は、程度に応じて14級9号または12級13号が目安です。認定されれば、後遺障害慰謝料や逸失利益を請求できます。
交通事故のむちうちで、「何か月たっても痛みやしびれが取れない」「めまいや頭痛が続く」と不安を抱える方は少なくありません。この記事では、むちうちが治らない・長引くと感じたときに何をすればよいかを、大阪の被害者側の弁護士が整理します。
なぜ、むちうちは長引くことがあるのか
むちうちは、正式には頚椎捻挫や外傷性頚部症候群などと呼ばれ、首の筋肉・靱帯・神経などの損傷を指します。症状は、首の痛みや肩こり、頭痛だけでなく、めまい・耳鳴り・吐き気・手のしびれといった自律神経に関わるもの(いわゆるバレ・リュー症状)が出ることもあります。
多くのケースは、保存的な治療を続けることで回復に向かうとされています。一方で、次のような事情から、症状が長引いたり、残ってしまうことがあります。
むちうちは、レントゲンやMRIなどの画像に損傷が写りにくく、他人が見てわかる客観的な所見(他覚所見)に乏しいという特徴があります。そのため、本人がつらくても「症状が軽い」と受け取られやすく、治療の必要性や後遺障害の存在をめぐって争いになりやすいのです。症状の重さには個人差があり、受傷直後ではなく数日たってから症状が強まることもあります。
「治らない」と感じたら、まず確認すること
症状が長引いているときほど、次の2点が後々の慰謝料や後遺障害の判断に効いてきます。
- 自己判断で通院をやめない。症状が続いているのに通院が途切れると、「もう治った」「症状は軽い」と受け取られ、慰謝料が減ったり後遺障害が認定されにくくなります。
- 医師に症状を具体的に、継続して伝える。痛み・しびれの部位や程度、めまいなどの症状を診察のたびに正確に伝え、カルテに残してもらうことが、症状の存在を裏づける記録になります。
通院の頻度や期間の考え方は、通院の仕方によって慰謝料が変わることにも関わります。くわしくは別の記事で説明しています。
治らないときに取れる3つの道
「治らない」と感じたときの進み方は、大きく次の3つに整理できます。どれを選ぶかは、症状の経過と医師の判断によります。
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| 進み方 | どんなときか | ポイント |
|---|---|---|
| ① 治療を続ける | まだ改善の余地があり、医師も治療の必要を認めている | 打ち切りを告げられても、健康保険に切り替えてでも必要な治療は続ける |
| ② 症状固定にして後遺障害を申請する | これ以上治療を続けても大きな改善が見込めない段階 | 残った神経症状について等級認定を受け、後遺障害慰謝料・逸失利益を請求する |
| ③ 打ち切りに対応する | 症状が残っているのに治療費を打ち切られた | 延長交渉・健康保険への切替え・自賠責への被害者請求で立替分を回収する |
「症状固定」とは、これ以上治療を続けても症状の改善が見込めなくなった状態のことで、本来は医師が医学的に判断するものです。打ち切りの日がそのまま症状固定日として扱われてしまうことがあるため、時期は医師とよく相談して決めることが大切です。症状固定はいつかという判断は、慰謝料や後遺障害に直結します。
注意したいのは、症状が残っていても、医学的に認められた治療を続けて改善が見込めなくなれば症状固定と判断され得ること、そして症状固定後の治療費は、原則として賠償の対象になりません(症状の悪化を防ぐためなど、必要かつ相当と認められる場合は例外もあります)。だからこそ、漫然と同じ治療を続けるより、改善が止まった段階で後遺障害の申請に切り替える判断が、受け取れる金額を左右します。
むちうちで後遺障害になる? 14級と12級の違い
治らずに神経症状(痛み・しびれ)が残った場合、その程度に応じて後遺障害等級の対象になります。むちうちで問題になりやすいのは、次の2つです。
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| 等級 | 内容の目安 |
|---|---|
| 14級9号 | 局部に神経症状を残すもの。自覚症状が、通院の経過などから医学的に説明できる場合 |
| 12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの。画像所見や神経学的な検査で、症状の原因を他覚的に証明できる場合 |
12級と14級では、受け取れる後遺障害慰謝料や逸失利益が大きく変わります。認定のカギは、症状の一貫性(事故直後から続いているか)と、画像・検査による裏づけです。認定の流れや、非該当・想定より低い等級だったときの異議申立てについては、むちうちの後遺障害の記事でくわしく説明しています。
なお、後遺障害分の損害賠償には時効があり、症状固定日(またはその翌日)から3年が一つの目安とされています。治療が長引くと症状固定も後ろになりますが、固定後は期限の管理にも注意が必要です。くわしくは交通事故の時効をご覧ください。
保険会社の「そろそろ治るはず」への向き合い方
長引くむちうちでは、保険会社から「むちうちは通常○か月で治る」「もう症状固定のはず」と、早期の打ち切りや低い等級を前提とした対応をされることがあります。しかし、治療の必要性や症状固定の時期は、本来は医学的に判断されるものです。画一的な期間だけで決まるわけではありません。
また、むちうちでは、加齢による首の変化(変形性頚椎症など)や既往症を理由に、「症状は事故だけが原因ではない」として賠償額を減らす素因減額が主張されることもあります。もっとも、事故前に症状がなかったのであれば、こうした主張がそのまま通るわけではありません。
弁護士からひとこと
「むちうちは軽い」という前提でのやり取りに、おひとりで反論するのは大変です。通院の記録と医師の意見を整理し、症状固定の時期や後遺障害の見通しを踏まえて交渉することで、結論が変わることがあります。当事務所には元裁判官の弁護士が在籍し、立証の見立てもお伝えできます。
やってはいけないこと・よくある誤解
「治らないから」と通院をやめてしまう
いちばん避けたいのが、改善しないことに疲れて通院をやめてしまうことです。記録が途切れると、症状が続いていることを示せなくなり、慰謝料も後遺障害も不利になります。
病院に一度も行かず、整骨院だけで様子を見る
整骨院の利用自体は可能ですが、医師(整形外科)の診察と画像・検査の記録がないと、後遺障害の申請で必要な資料がそろいません。まずは整形外科を受診し、通院を続けることが基本です。整骨院に通うときの注意は別の記事をご覧ください。
痛みが残るのに、早く示談してしまう
症状が残っているうちに示談すると、あとから後遺障害分を追加請求するのが難しくなります。治らない不安があるときほど、示談を急がないことが大切です。
よくある質問
むちうちは、どれくらいで治るのが普通ですか。
治らないのに、保険会社から治療費を打ち切ると言われました。
画像に異常が写りません。後遺障害は無理ですか。
症状固定とは何ですか。いつ決めますか。
めまいや耳鳴り、頭痛も後遺障害になりますか。
事故前から首にヘルニアや加齢の変化がありました。不利になりますか。
通院は整骨院だけでも大丈夫ですか。
治らないとき、弁護士に相談するメリットはありますか。
むちうちが治らず、治療や示談でお困りの方へ
治療を続けるべきか、症状固定や後遺障害の見通し、打ち切りへの対応まで、大阪市・なんば・心斎橋の難波みなみ法律事務所が被害者側の立場でご相談を承ります。初回相談は30分無料、LINE・Zoom相談や土日祝・夜間にも対応しています。弁護士費用特約にも対応しています。
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【監修】難波みなみ法律事務所 代表弁護士 南 宜孝(大阪弁護士会)。交通事故の被害者側の代理人として、むちうちの治療・症状固定・後遺障害・示談交渉に対応しています。看護を学んだ協力弁護士と連携し、医療の視点も踏まえて検討します。






