交通事故で骨折をすると、治療が長くかかり、痛みや関節の動かしにくさといった症状が残ることもあります。「慰謝料はいくらになるのか」「後遺症が残ったらどうなるのか」——気になるところを、大阪の被害者側の弁護士が整理します。
結論から
Q. 骨折の慰謝料はどう決まりますか。
大きく2種類あります。ひとつは、治療にかかった期間で決まる入通院慰謝料。もうひとつは、治っても症状が残ったときの後遺障害慰謝料です。骨折は治療が長引きやすく、入院や長期の通院を伴うことが多いため、入通院慰謝料も大きくなりやすい傾向があります。
Q. 骨折で後遺障害が残ると、慰謝料はいくらですか。
残った症状の重さに応じた等級で決まります。大阪で用いられる基準(緑本)では、たとえば12級で約280万円、14級で110万円、関節が大きく動かせないなどの10級で約530万円、骨がうまくつながらない偽関節などの8級で830万円・7級で約1,030万円が目安です(後遺障害慰謝料のみ。逸失利益は別です)。
Q. 何に気をつければよいですか。
治療を途中でやめないことと、残った症状を後遺障害診断書に正確に書いてもらうことです。関節の動く範囲(可動域)や、画像でわかる変形・癒合の状態が、等級を左右します。迷ったら、症状固定の前にご相談ください。
骨折の慰謝料は「入通院」+「後遺障害」の2本立て
交通事故の慰謝料は、次の2つを分けて考えます。
| 種類 | 何で決まるか |
|---|---|
| 入通院慰謝料 | 入院・通院にかかった期間(ケガの治療に通った長さ) |
| 後遺障害慰謝料 | 治療しても残った症状の後遺障害等級 |
骨折は、ギプス固定や手術、リハビリで治療が数か月に及ぶことが多く、入院を伴うこともあります。そのぶん入通院慰謝料は大きくなりやすく、症状が残れば後遺障害慰謝料も加わります。
入通院慰謝料の目安
入通院慰謝料は、入院と通院の期間を基準表にあてはめて計算します。大阪では「緑本」という基準が用いられます。たとえば入院1か月+通院6か月なら、緑本の通常の表で約153万円が目安です(症状や治療内容で増減します)。
骨折は通院が長引きやすいので、通院の間隔を空けず、医師の指示にそって通い続けることが、適正な慰謝料につながります。くわしい金額は、慰謝料の自動計算(大阪基準)で確かめられます。通院の頻度・期間の考え方もあわせてご覧ください。
通院が長くなるケースでは、通院の回数がまばらだと、実際に通った日数の3.5倍程度を慰謝料算定上の通院期間の目安とすることがあります。あくまで個別事案での目安ですが、こまめに通うことが適正な金額につながります。
骨折で残りやすい後遺障害と等級
骨折が治っても、次のような症状が残ることがあります。これらは後遺障害として等級認定の対象になります。
| 後遺障害の型 | 内容 | 主な等級の例 |
|---|---|---|
| 神経症状 | 痛み・しびれが残る | 12級13号/14級9号 |
| 機能障害 | 関節が動かしにくい(可動域の制限) | 12級/10級/8級 |
| 変形障害 | 鎖骨・ろく骨・骨盤などに変形が残る、せき柱が変形する | 12級5号/11級7号 ほか |
| 偽関節 | 骨がうまくつながらず、ぐらつく | 8級/7級 |
| 短縮障害 | 脚の骨が縮んで左右の長さが違う | 13級/10級/8級 |
どの等級になるかは、残った症状の重さ(可動域がどれくらい制限されているか、変形や短縮の程度)で決まります。同じ「骨折」でも、部位や治り方によって結論は変わります。
関節の可動域制限(機能障害)は、原則として骨折後の癒合不良や神経の損傷など、原因となる器質的な損傷が画像などで確認できることが前提とされます。はっきりした器質的損傷がない場合でも、痛みのために動かしにくいときは、局部の神経症状として12級13号や14級9号に評価されることがあります。後遺障害等級の認定は、原則として労災保険の等級認定の基準に準じて行われます。
後遺障害慰謝料の目安(大阪基準・緑本)
認定された等級に応じて、後遺障害慰謝料の目安は次のとおりです(後遺障害慰謝料のみ。これとは別に、将来の収入の減少を補う逸失利益も請求できます)。
| 等級 | 後遺障害慰謝料(目安) |
|---|---|
| 7級 | 約1,030万円 |
| 8級 | 830万円 |
| 10級 | 約530万円 |
| 12級 | 約280万円 |
| 14級 | 110万円 |
金額は裁判で用いられる基準(大阪では緑本)によるもので、保険会社が最初に提示する額はこれより低いことが多いのが実情です。
部位別の通院期間の目安
骨折は部位によって治療の長さが変わります。あくまで目安ですが、おおよその傾向は次のとおりです。
| 部位 | 傾向 |
|---|---|
| ろく骨(肋骨) | 固定中心で、比較的短めのことが多い |
| 鎖骨・橈骨遠位端(手首) | 固定や手術+リハビリ。変形や可動域制限が残ることがある |
| 大腿骨・下腿骨(脚) | 手術・長期のリハビリ。偽関節・短縮・機能障害に注意 |
| 脊椎(圧迫骨折) | 長期の治療。せき柱の変形・神経症状が残ることがある |
| 骨盤 | 重傷になりやすく、変形や歩行の障害が残ることがある |
治療が長くなるほど、途中で打ち切りを告げられたり、症状固定の時期が争いになったりしやすくなります。症状固定はいつかは、慰謝料や後遺障害の判断に関わる大切なポイントです。
後遺障害を正しく認定してもらうためのポイント
後遺障害の申請の流れは後遺障害認定とはをご覧ください。非該当や想定より低い等級だったときは、異議申立てで争うこともできます。
骨折の慰謝料・後遺障害の見通し、症状固定のタイミング、保険会社への対応まで、大阪市・なんば・心斎橋の難波みなみ法律事務所でご相談を承ります。初回相談は30分無料、LINE・Zoom相談や土日祝・夜間にも対応しています。
よくある質問
骨折の慰謝料はどのように計算しますか。
入通院慰謝料(治療にかかった入院・通院の期間で決まる)と、後遺障害慰謝料(残った症状の等級で決まる)に分かれます。骨折は治療が長引きやすいため、入通院慰謝料も大きくなりやすい傾向があります。
入院1か月・通院6か月だと入通院慰謝料はいくらですか。
大阪で用いられる緑本の通常の表では、約153万円が目安です。症状の重さや治療内容によって増減します。くわしくは慰謝料の自動計算で確かめられます。
骨折で後遺障害が残ると慰謝料はいくらですか。
認定された等級によります。大阪基準(緑本)では、後遺障害慰謝料の目安として、14級で110万円、12級で約280万円、10級で約530万円、8級で830万円、7級で約1,030万円です。これとは別に逸失利益も請求できます。
骨折で残りやすい後遺障害にはどんなものがありますか。
痛み・しびれ(神経症状)、関節が動かしにくい(機能障害)、鎖骨やせき柱などの変形(変形障害)、骨がつながらない(偽関節)、脚が短くなる(短縮障害)などです。症状の重さに応じて等級が決まります。
痛みやしびれだけでも後遺障害になりますか。
なることがあります。画像などで原因が説明できる頑固な神経症状は12級13号、それに至らない神経症状は14級9号が目安です。通院の記録や検査結果で症状の存在を裏づけることが大切です。
保険会社に治療費を打ち切ると言われました。
骨折は癒合やリハビリに時間がかかります。医師が必要と認めているなら、打ち切りを告げられても治療は続けられます。健康保険に切り替えて通院を続け、立て替えた分はあとで請求できます。対処法は別の記事でくわしく説明しています。
後遺障害の等級を上げるにはどうすればよいですか。
関節の可動域を正確に測ってもらい、画像で変形・癒合の状態を示し、後遺障害診断書に症状を正確に記載してもらうことが基本です。想定より低い等級や非該当だったときは、異議申立てで争えます。
弁護士に頼むと慰謝料は変わりますか。
変わることがあります。保険会社が最初に提示する額は、裁判で用いられる基準より低いことが多く、弁護士が交渉することで基準に沿った額に近づけられる場合があります。弁護士費用特約があれば費用は保険でまかなえることが多いです。
本記事は一般的な解説です。慰謝料の額や後遺障害の等級は、骨折の部位・治療経過・残った症状によって異なります。具体的な事案は弁護士にご相談ください。金額は大阪で用いられる基準(緑本)にもとづく目安です。






